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貴方に染まる
第5章 Ⅴ
カーテンが開けられる音がして、
「華?」
と、今までにないくらい優しい声が降ってきた。
ゆっくり目を開けると、蘭が心配そうに私の頬に手を当てている。
「体調悪いなら帰ろ」
仮病なんだけどなぁ…。
でもここで仮病なんて言ったら先生に聞こえちゃうし、とりあえず保健室から出よう。
「華、どこ行くんだよ」
無言で蘭のいる反対側からベッドを降り、保健室を出た。
ポケットからスマホを出して時間を確認すると2時限目が始まっていた。
「華のバッグ持ってきた。帰ろ」
「え…?」
「担任に聞いたら保健室に行ったって言ってたから体調悪いのかと思って」
「仮病…なんだけど…」