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さよならフランソワ
第1章 別れの時
 フランスに帰国することになったので、最後に一度逢って欲しいとフランソワから連絡が来た。
 彼のアパートに駆けつけてみると、フランソワと共に髪の薄いデップリした中年の白人男性が待っていた。
「こちらはモーリス社長、わい、来月からこの人のとこで働かせて貰うことになりましたんやわ」
 相変わらずフランソワは美貌に似合わぬ流暢な大阪弁で言う。
 モーリスさんはにこやかに握手を求めて来た。何かをフランス語で語り掛ける。“ギャルソン”とか“ジプシャン”という言葉が聞こえた。
「フランソワがお世話になったお礼がしたいから、服を脱いでくれと言うてはります」
 採寸してスーツでも作ってくれるのかとジャケットを脱ぐ。
「シャツも皆脱ぎなはれ」
 フランソワに言われるまま、パンツ一丁になるとモーリスさんがいきなりハグしてきた。
「おい、フランソワ、モーリスさんにぼくのことをどう紹介してるんだ?」
「母国を離れて寂しがってるわしを、体を使って慰めてくれる優しい友達やときちんと伝えてますわ」
「ちょっと待て、それは誤解を招くだろう?」
「いやいや、その通りですがな、あ、それから右の乳首が感じることも」
「おい、それでもしぼくが……あっ…」
 モーリスさんの左手の指がぼくの右乳首を柔らかく摘まむ。
「お礼っちゅうのはこういうことでっせ」
 いつの間にか全裸になったフランソワは、ぼくのパンツもはぎ取って後ろからおなじみの股間の魚肉ソーセージを押し付けてきた。
 二人がかりで、ぼくの体はベッドの上に押し倒された。

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