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優しい風
第2章 恋の始まり・・・

「まだ 早いから何処か連れて行ってくれます?」 
輝く様な瞳で覗き込んで来る

高島が 立ち止まり 少し飲もうか と路地に入って行った
路地裏の 小さな扉を開けると カウンターだけの店内に 
何時もの様に マスターがグラスを磨いていた

「暫くぶりですね 可愛い娘連れて 恋人?」 
少し白い物が見え始めたマスターが挨拶をしてきた

「だったらよいけど マスター 何時もの 飯田さんは?」

「同じのを」 
目を輝かせ 和哉を見ながら言った

「マスター 水割りにしてあげて」

「ここ 良くいらっしゃるんですか?」 
店内を見回しながら 紗那が聞いて来た 

「学生の頃からだから 長いかな 私の隠れ家」 
店内には 静かにジャズが流れ
紗那は 出された水割りを飲みながら 棚に並べられたボトルを眺めていた 

「彼氏居ないって 何時別れたの?」

「卒業した時です」 
顔を伏せ 少し悲しそうに紗那は呟いた

「今年か 何故別れたの?」

「しょうがないんです 彼田舎に帰ったから」

「付いて行かなかったの?」

「彼が 望まなかったから 諦めたんです」 
諦めた様に 棚のボトルを眺め呟いた

「帰ろうか?」 
2杯目を飲み終わり 高島は立ち上がり 紗那も後を追い 
駅まで 腕を絡ませて歩いていた 

改札を抜けると 気を付けて 手を振りながら帰る後ろ姿を 
紗那は見つめ 溜息を付いていた

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