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僕たちの大切な人
第3章 愛の手
「ねー!聞いて聞いて!今日ね!かず君とデートなのー」
「はいはい、それは良かったね…もうその話今日30回は聞いたけどね」
「ふふ!杏、よっぽど嬉しいんだねー?」
いつもの三人で雑誌を捲りながら話していると、雑誌に少しエッチな内容のコーナーが載っていた。
若葉がパッとすぐにそのページを飛ばそうとする手を止めた。
「ちょっと待って!これ……本当?」
私が食いついたのは彼氏とどのくらいの頻度でエッチをしているかという内容だった。
アンケート平均週3回…?
「えっと…そのくらいかなぁ///」
萌が恥ずかしそうに声を小さくしてそう言った。
「エ!?そうなの!?」
何故か若葉が驚く。
「そのくらいじゃない?時間合わなくて2回の時もあるけど…あれ?そのくらいじゃない?」
「う…虎ちゃん元気過ぎて///」
「あー!虎之助君すごそうだもんねー!なんて言ったって成瀬君と同じ血筋だしー…それで杏は?」
「………ない」
「え?」
「かず君とエッチしたことない!」
「あー!ほら、付き合ってまだ1ヶ月くらいだっけ?これからじゃないかな…」
「じゃあ二人は付き合ってどのくらいに初めてエッチしたの?」
「……えっと…つ、次の日?って言っても…付き合う前は変な関係だったから」
「あ、あたしは大貴とは長く一緒にいたから…その…」
「………杏は…かず君とラブラブだと思ってたのに違ったぁ!」
「そんな事ないって!二人どこからどう見てもラブラブだよ!?」
「キスもしたことないもん…あ!」
特集の男子のコメント欄のところに目がいく。
“彼女が処女で他の男に手を付けらていないんだって思うと興奮する!嬉しい!”
“彼女の前の彼氏が知ってる奴でしかもすげぇ嫌な奴だったら穴兄弟みたいでそれ考えると萎える”
!?
私…あの時アイツにヤられたから…
そうだよね…かず君…アイツが突っ込んだところになんて…
「杏!もうこの話おしまいね?」
「人それぞれペースあるし、雑誌に書いてあることなんて気にしちゃダメだよ!」
「そうそう!一馬君なりに考えてるって!」
「……うん」
みんなそう言ってくれるけど、私はすっかり元気をなくしてしまった。