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Stand by me
第9章 勘違い
「綺麗…」

その言葉しか感動で出てこなかった。
窓ガラス越しに映る彼は、パソコンと向き合っていた。


「みっちーいいね、こんな綺麗なとこで仕事できて」

「そうやね、何気に残業好きやねん。1人でこの景色見てる。廊下の電気も消えたら、もっと綺麗やねんで。」

と言って、オフィスの電気を消した。


ドキドキした。

何かを望んだ。

彼からのアクションを。


「さ、帰ろっか!」

「忘れ物は?」

「あ、これ。りんご!掃除のおばちゃんがくれてんよ。」

「へ?りんご?明日でよかったんやないん?」


…。

「はーちゃん、帰るよ」

私の手を引いて、オフィスを出た。


そう、彼は私にこのバンコクの夜景を見せるために
忘れ物をしたと嘘をついて、夜景の一番綺麗に見えるオフィスに連れてきてくれたのだ。


この嘘に涙が出そうになった。


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