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第3章 ~腹黒王子~　（前編）

　シェードさま……と、仰るのね。
　あぁ、世間は狭いというけど……まさか、お兄様の知り合いだなんて。

「お手を……よろしいですか？」

「え……？」

「アザレア、僕は大広間に行くよ」

　と、パチッとお兄様はウィンクをする。

　え、えっ！？
　お兄様、傍にいてくださらないの？

　そ、そんなふたりきりになるなんて……

「アザレア……頑張って」

　お兄様は、狼狽するわたしを見て想い人がシェードさまだとわかったんだわ。

　でも……どうしよ。
　突然のことで……