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プリンスの誘惑
第3章 ~腹黒王子~ (前編)

「人前は苦手ですか……では、静かな場所に行きましょう」
シェードさまは、ニコリとイヤな顔ひとつせず微笑み、庭園を歩きだす。
優しい方……ドキドキがシェードさまに伝わってしまわないかしら。
庭園にいる令嬢たちがヒソヒソと扇で口元を隠しながら見ている気がする。
シェードさまは、目を奪われるほど素敵な方ですもの……隣にわたしなんかが居ていいのかしら。
庭園の先、白いベンチが置かれているその場所は、人の姿もなく夜の静けさの中、遠くからワルツの音が聞こえてくる。
シェードさまは、スカーフをベンチに広げわたしを座らせてくれた。

