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第11章 一線

「…甥っ子として好きだよ……私ね…若い子好きなんだよね……だから…陽翔が私に興味を持ってたことも解ってたし…姉さんにばれなきゃいっかくらいに思ってたんだよ……陽翔もエッチなことに興味津々なんだろうしって……まさか本気になられるなんて考えてもなかったんだよ……」

【…本気になるときっとお互い辛くなるから……】

「ただ都合のいい…弟みたいな？……いや弟じゃないよね……ちょっと可愛いペットくらいに想ってたってこと？……」

陽翔の言葉は胸に刺さった。
心臓が締めつけられるほどに苦しく感じる。

【やだな…陽翔にそんなこと言われるのは……けっこう、くる……】

「…ふぅ……今はね、ちょっと違う……陽翔にそこまで想われるのは正直重い……でもね、うれしいとも思ってる……あれ？…おかしいな…なんで……」

大人じゃなきゃいけない。
弱い部分なんて見せてやるものか…。
そう思っていたのに、私の頬に涙が伝っていく。
零れだした涙はぽろぽろと止まらなくなっていた。

「…結奈さんっ……ごめん、ごめんなさいっ……困らせるつもりじゃないのに…」

叔母の涙なんて初めて見た。
おろおろしてしまう。
ベッドに膝をついていた僕は思わず叔母の肩に手を添えた。


【困らせるどころか…傷つけてる……やっぱり子供だな…僕…】

「あ、ごめん、大丈夫、大丈夫だから……」

【カッコ悪いな…私……】

やはりだめなのかと思ってしまう。
大好きな女(ひと)を泣かせるのは違うと思った。

【でも、でも、でも、でも……】

「やっぱり結奈さんが好きだよ……」

私は頬を拭って無理やり涙を止める。
真っ赤な目に笑顔を作って見つめていく。　

「だから…重いんだって……ねぇ、昔…陽翔が私にプロポーズしたことあるの憶えてる？……」

「えっ？…僕が？…」

「憶えてないか……私はそれをOKしてたんだよ……」

【どういうこと？…結奈さん結婚考えてるの？…】

「じゃ、じゃあ？…」

陽翔は驚きと戸惑いと表情を浮かべてる。

「勘違いしないで…陽翔がおっきくなっても同じように私を想っていてくれたらって話し……もちろん私だって本気で答えたわけじゃない……」

「え、ぁ…結奈さんっ……」

【改めてプロポーズでもするつもり？…やめてよ……】

私は人差し指で陽翔の唇に蓋をした。