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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第13章 登校日
【落ち着け…ムキになれば図に乗る……】

私は無言だった。

「あれ?…お話しするんじゃないんすか…」

そんな気はない。
私達のことを知っていても陽翔の友人なのだ、滅多なことにはならない筈だ。

俺は無視する女の顔を覗き込んだ。

【気の強そうな女だなぁ…まぁ、反抗するか、怯えるか…だいたいどっちかなんだけどな…】

「そんな態度とっていいと思ってんの?…」

私はようやく少年と目を会わせた。

「なに?…脅すつもり……」

俺は睨んでくる女を目を細めて見つめ返す。

「良かったぁ…話しが早くて…さすが大人っすね…」

どこまでも小馬鹿にしたような態度に虫酸が走る。

「あんた…陽翔の友達なんでしょ…本気で言ってるの……」

「あぁ…押し問答する気なんてないんで…来週のお盆のどこか夜、空けといてくださいよ…今日はそれだけ言いたくて待ってたんで…」

「はぁ?…付き合うわけないだろ……」

「おぉ恐っ…理解したんしょ…脅しだって…」

「なに?…誰かに話す?…あんた陽翔と友達辞めんの?……」

「まさか…あいつは幼馴染みで俺の親友だよ…これからもずっとね……俺、おばさんとも仲いいんすよね…おばさん、驚くだろうなぁ…壊れんのはあんたの家族の方だろ…」

俺は言いながらスマホを弄っていた。

【なんなのこいつ…ほんとに陽翔の親友?…最低……】

確かに脅されてしまった。

「何が望みなの?……」

「あぁ…俺次のバス停で降りるんで…詳しくは後日…」

バッグの中のスマホが着信に震えた。
少年はスマホを楽しげにかざしている。
私はスマホを取り出すとLINEの着信があることに驚いた。

【まさか……】

「それ俺なんで…無視とかしないでくださいよ…こう見えて俺、わりと短気なんで…」

俺は降車ボタンを押した。

【いいねぇ…その絶望的な顔…】

【なんで?…陽翔にもLINEなんてまだ教えてないのに……こいつ、いったい……】

「なんで知ってるの……」

「なんででしょうねぇ…あ、陽翔じゃないっすよ、情報源は…じゃ、また連絡するんで…」

【なんで?…なんで?…なんで?……】

頭の整理がつかなかった。
私は茫然としながらも自宅マンションまで辿り着いた。
シャワーを浴びてもすっきりなどしない。

彼からの連絡が来る迄、何かに縛られる…そんな時間を過ごすことになった。
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