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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第14章 餓鬼
「あっつい~っ……お父さんっ…後はお墓、水を流しておしまいだよね……」

「あぁ…おかげで綺麗になったよ…ご先祖様もお喜びだろう…」

「じゃあ、抜いた草棄ててくるから……」

焼却場から我が家のお墓に戻ると綺麗にされた墓石が濡れていた。
父と並んで手を併せた。

「お父さん…姉さん達いつ来るとか言ってなかった?……」

「ん?…あぁ…15日って言ってたかな…お前はどうするんだ?…」

「別に親戚一同集まるわけじゃなし…お墓にも手を併せたしね……どうしようかな……」

私が実家の車の運転して戻っていく。

「陽翔ももう高校生だぞ…久しぶりに会いたくないのか…」

【姉さん…私が家庭教師してること言ってないんだ……】

「ぁぁ…いやぁ…けっこう行ってるんだ姉さんの家……」

父は呆れたように溢した。

「なんだ…こっちにももっと顔を見せろ…まだ仕事もしてないんだろ…母さん、あれでも寂しがってるんだぞ…」

私は昔から親不孝だと思ってる。
何か蟠りがあるでもない。
ただ、距離感は難しい。

「…家に戻ったら盆提灯とか飾るんだっけ……」

なんとなく濁してしまった。
父は…「あぁ…」とだけ短く頷いた。

お盆の支度も終わり、久しぶりに実家で母の手料理を食べることにした。
もちろん、一緒にキッチンに立った。
まだ老け込むには早い…それでも車の中で父との会話を思い出すと母の頭に目立つ白髪が増えたなと感じた。

だからといって会話が弾むわけでもない。
陽翔でもいれば、孫を餌に話しも続くのだろうが、静かな食卓だった。

居間でお茶を飲みながら、この日数時間ぶりにスマホを確認した。
LINEの角に小さな数字がある。
開くと未登録者からのメッセージが入っていた。
このタイミングで相手はアイツしかいなかった。

「じゃあ、私そろそろ帰るね……」

寂しげな表情を浮かべながらも両親は引き留めなどしない。
父に15日のことを再び尋ねられた。

「その日はやっぱり無理っぽい…また顔出すから……じゃあ、おやすみなさい……」

実家を後にすると駅へと向かいながらスマホを開いた。
私は足を止めて愕然とした。

【こんなこと…普通じゃない……】

目を通して唇を噛む。
返信などする気もない…できやしないとスマホをしまい込んだ。

マンションに戻り、寝支度を終えて寝室に入ると手の中のスマホが震えた。
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