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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第1章 予感
神埼結奈は31歳。

学生時代は所謂ギャルの部類に振り分けられていた少々拗らせていた過去を持つ。

姉の由紀子とはけっこう歳が離れていて八歳違い。
姉はおっとりとした性格で敵など作らない、誰にでも隔たりなく接するような女性だった。
そんな姉が短大卒業後に職場で出会った先輩と恋に落ちて、あれよあれよと結婚、出産した。
結奈が中学から高校生になるまでの出来事だった。
 
結奈は高校二年の終わりまで派手な髪の色、メイクもして反抗期は親、姉ともろくに口も聞かなかった。
姉の結婚は幸せそうに結奈にも映っていた。
でもなんだろう…急に勉強することにした。
その時は姉の由紀子は男性に依存する女性に見えたのかもしれない。
家族の中で距離を置いていたせいか、結奈は一人で生きていく力を欲した。
そして、あまり迷惑はかけれないと某有名国立大を目指した。
結果、頭を下げて一年間の浪人生活を過ごし目標の大学に入学した。
 
とはいえ、素直になれない性格をすぐに変えることはできなかった。
見た目はギャルから少し派手めな大学生に変わっていた。
家族ともどうも馴れ合うことは難しかった。
どうしても交遊関係も類友になってしまう。
 
だが甥っ子の陽翔は物心つく頃から妙に結奈に纏わりついた。
おっとりとした性格の姉もそれを止めることはなかった。
陽翔が四歳くらいになると姉に連れられ里帰りしてきた際は、決まって結奈の部屋に入ってきた。
受験勉強してる最中も勝手にベッドでお昼寝したり、休憩にベッドで寝ていると陽翔もくっつくように抱きついてきたりしていた。
その時のしがみつく力はわりと強いんだなと結奈は感じていた。
 
結奈が大学に入ると、陽翔は保育園に入園した。
姉がパートに出るようになったからか、実家で陽翔を預かることが増えた。
陽翔は相変わらず結奈がいると傍にいることが多かった。
 
今でもはっきりと憶えている。

「ボクね…結奈ちゃんが大好き…ママに将来結婚してって言ったらダメって言われたから、結奈ちゃんがボクのお嫁さんになってね…」

私は吹き出した。

【ママの代わりかよ……】

「あぁ…いいよ……陽翔が大人になっても私のことが好きだったら結婚してやるよ……」

そう…私はこんな蓮っ葉な言葉遣いをしていた。
それは今もさほど変わっていない。
もちろん、相手と場所を選べるほどには大人になっていた。
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