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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第16章 アトリエ
【マジ?…この塀全部森宮部長ん家?…】
僕は画材道具を一式詰め込んだトートバッグを肩に担ぎ長い塀沿いの歩道を歩いていた。
夏の陽射しが照りつける中、肌はじっとりと汗をかいている。
ようやく塀の切れ目にたどり着くと、またちょっと嫌になった。
玄関は遠そうだった。
お屋敷みたいな建物が遠近感を狂わせるほどに大きく思えた。
【豪邸だって聞いていたけど…】
肩に食い込むバッグを担ぎ直して歩き出す。
庭に覆い茂った草木が日陰を作ってくれていて幾分ましだった。
大きな玄関にたじろぎながら、インターフォンを押した。
「…藤沢くんですね…いらっしゃい……」
先輩の声にほっとした。
お手伝いさんでも対応してくるのかと身構えていたから。
「お言葉に甘えてお邪魔しました…」
先輩は後輩の俺にもいつも敬語を使う。
だからこっちも日頃使わない口調になってしまう。
「入って……」
その声の後に、ガチャ…と施錠の解かれる音がした。
【オートロック?…どこから操作してるんだよ…】
生活水準の違いを目の当たりにして、余計に緊張してきた。
恐る恐るドアを開けて、中を覗き込むように入っていった。
誰もいない。
どこまでが玄関なのかわからない。
【どこで靴を脱げばいいんだ?…】
静かな足音が聞こえてきた。
「いらっしゃいませ…外暑かったですよね……」
「…ぁ……」
お嬢様がそこに立っていた。
白いブラウスに胸元に大きなリボン…臙脂色のAラインの膝丈スカート。
それが好みという訳ではないのに、先輩に見惚れるように視線を奪われていた。
「どう?したんですか……」
「へ?…あ、いや…暑かったです…はい…」
先輩は穏やかに笑みを浮かべていた。
「藤沢くん…おかしいですね…さぁ、そんな入口に立ってないでこちらに……」
先輩と僕には思いの外距離があった。
どうやら先輩の立つあそこ迄が玄関らしい。
僕は返事をして慌てて歩み寄っていった。
「靴…脱ぐんですよね?…」
「ふふ…はい…このスリッパを使ってください……」
先輩の足許には僕に向けられた来客用のスリッパが既に置かれていた。
僕はデッキシューズを脱いでスリッパに足を突っ込んだ。
【うわぁ…履き心地いい…】
「あ、あの…これよかったら…」
僕は保冷剤バッグに入ったプリンを差し出した。
「プリンですっ…」
僕は画材道具を一式詰め込んだトートバッグを肩に担ぎ長い塀沿いの歩道を歩いていた。
夏の陽射しが照りつける中、肌はじっとりと汗をかいている。
ようやく塀の切れ目にたどり着くと、またちょっと嫌になった。
玄関は遠そうだった。
お屋敷みたいな建物が遠近感を狂わせるほどに大きく思えた。
【豪邸だって聞いていたけど…】
肩に食い込むバッグを担ぎ直して歩き出す。
庭に覆い茂った草木が日陰を作ってくれていて幾分ましだった。
大きな玄関にたじろぎながら、インターフォンを押した。
「…藤沢くんですね…いらっしゃい……」
先輩の声にほっとした。
お手伝いさんでも対応してくるのかと身構えていたから。
「お言葉に甘えてお邪魔しました…」
先輩は後輩の俺にもいつも敬語を使う。
だからこっちも日頃使わない口調になってしまう。
「入って……」
その声の後に、ガチャ…と施錠の解かれる音がした。
【オートロック?…どこから操作してるんだよ…】
生活水準の違いを目の当たりにして、余計に緊張してきた。
恐る恐るドアを開けて、中を覗き込むように入っていった。
誰もいない。
どこまでが玄関なのかわからない。
【どこで靴を脱げばいいんだ?…】
静かな足音が聞こえてきた。
「いらっしゃいませ…外暑かったですよね……」
「…ぁ……」
お嬢様がそこに立っていた。
白いブラウスに胸元に大きなリボン…臙脂色のAラインの膝丈スカート。
それが好みという訳ではないのに、先輩に見惚れるように視線を奪われていた。
「どう?したんですか……」
「へ?…あ、いや…暑かったです…はい…」
先輩は穏やかに笑みを浮かべていた。
「藤沢くん…おかしいですね…さぁ、そんな入口に立ってないでこちらに……」
先輩と僕には思いの外距離があった。
どうやら先輩の立つあそこ迄が玄関らしい。
僕は返事をして慌てて歩み寄っていった。
「靴…脱ぐんですよね?…」
「ふふ…はい…このスリッパを使ってください……」
先輩の足許には僕に向けられた来客用のスリッパが既に置かれていた。
僕はデッキシューズを脱いでスリッパに足を突っ込んだ。
【うわぁ…履き心地いい…】
「あ、あの…これよかったら…」
僕は保冷剤バッグに入ったプリンを差し出した。
「プリンですっ…」