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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第16章 アトリエ
勢いが良すぎたのか、先輩は後ずさって保冷バッグを受け取ってくれた。
「あ、このお店…美味しいですよね…後で一緒にいただきましょう……」
「あ、はい…ご馳走になります…」
【藤沢くん…すごく緊張してるのね…自分が買ってきたのに……】
ポロシャツにクロップド丈のチノパン。
爽やかな服装…美術部員なのにポロシャツ越しにでも締まった身体だと視て取れる。
「緊張しないで大丈夫ですよ……」
それは無理というものだ。
先輩について歩く廊下は長い、家とは比べ物にならないほど天井が高かった。
それに制服とは違う先輩にドキドキしていた。
「は、はい…こんな豪邸初めてで…お手伝いさんでもいるのかと思いましたよ…」
「今は夏休みをとってもらっているから…それに両親も不在で…ここには藤沢くんと二人きりですよ……」
【やっぱり居るんだ…え?…部長と僕の二人きり?…】
余計に緊張してきた。
「よかったんですか?…そんな時にお邪魔してしまって…」
「もちろんです……えっと……」
先輩は何かを言いかけると扉を開けた。
扉の向こうは、また廊下だった。
「アトリエは離れなんです…離れといってもご覧のように廊下伝いなんですけどね……」
先輩は何でもないことのように言う。
【どんだけ広いんだよ、ここ…】
突き当たりのドアが開かれた。
そんなに広くはない部屋、壁には何段もの棚にキャンバスが並んでいる。
水回りも設備されていて、別の壁の棚にはデッサンに使う小物が並び、何脚ものイーゼル、水彩に油の絵の具、大きな姿見、テーブルに椅子、ソファ、ベッド…
モデルでも立たせるのか小さなステージに照明器具まであった。
「すげぇ…」
僕は息を飲んだ。
母屋の綺麗なお屋敷とは全く異質の空間だった。
どれもが使い古され、絵の具臭い中に独特の雰囲気を醸し出している。
「お話したことなかったですか?…私の伯父が画家なんです……そこまで有名ではないのですけど…二科展では何度も入賞してるんですよ…うちの家系の中では異質の存在なんですけどね……」
そう話す先輩の表情はどこか憂いているようで哀しげだった。
「ここはだいたいのものが揃ってるんですよ…壁の向こうには小さなキッチンや…絵の具で汚れるからシャワールームも……プリンは冷蔵庫にしまっておきますね……」
そう言って先輩は壁の奥に姿を消した。
「あ、このお店…美味しいですよね…後で一緒にいただきましょう……」
「あ、はい…ご馳走になります…」
【藤沢くん…すごく緊張してるのね…自分が買ってきたのに……】
ポロシャツにクロップド丈のチノパン。
爽やかな服装…美術部員なのにポロシャツ越しにでも締まった身体だと視て取れる。
「緊張しないで大丈夫ですよ……」
それは無理というものだ。
先輩について歩く廊下は長い、家とは比べ物にならないほど天井が高かった。
それに制服とは違う先輩にドキドキしていた。
「は、はい…こんな豪邸初めてで…お手伝いさんでもいるのかと思いましたよ…」
「今は夏休みをとってもらっているから…それに両親も不在で…ここには藤沢くんと二人きりですよ……」
【やっぱり居るんだ…え?…部長と僕の二人きり?…】
余計に緊張してきた。
「よかったんですか?…そんな時にお邪魔してしまって…」
「もちろんです……えっと……」
先輩は何かを言いかけると扉を開けた。
扉の向こうは、また廊下だった。
「アトリエは離れなんです…離れといってもご覧のように廊下伝いなんですけどね……」
先輩は何でもないことのように言う。
【どんだけ広いんだよ、ここ…】
突き当たりのドアが開かれた。
そんなに広くはない部屋、壁には何段もの棚にキャンバスが並んでいる。
水回りも設備されていて、別の壁の棚にはデッサンに使う小物が並び、何脚ものイーゼル、水彩に油の絵の具、大きな姿見、テーブルに椅子、ソファ、ベッド…
モデルでも立たせるのか小さなステージに照明器具まであった。
「すげぇ…」
僕は息を飲んだ。
母屋の綺麗なお屋敷とは全く異質の空間だった。
どれもが使い古され、絵の具臭い中に独特の雰囲気を醸し出している。
「お話したことなかったですか?…私の伯父が画家なんです……そこまで有名ではないのですけど…二科展では何度も入賞してるんですよ…うちの家系の中では異質の存在なんですけどね……」
そう話す先輩の表情はどこか憂いているようで哀しげだった。
「ここはだいたいのものが揃ってるんですよ…壁の向こうには小さなキッチンや…絵の具で汚れるからシャワールームも……プリンは冷蔵庫にしまっておきますね……」
そう言って先輩は壁の奥に姿を消した。