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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第16章 アトリエ
薄い唇から漏れる吐息に僕の指が湿り気を帯びる…
気がした。

「もう一度…描いてみてください……」

「は、はいっ…」

上ずった返事をして僕は鉛筆を拾い上げた。

【なんで?…こんなこと…本当に?…】

鉛筆が止まる。

【そうじゃない…ここはもう少し柔らかい感じ…】

最後に指先で陰影をつける。
隣にある唇とは別物だった。

「…部長……描けました…」

先輩はスケッチブックの上から覗き込んできた。

「これが…藤沢くんの感じた私の唇…なんですね……」

「どうですか?…」

緊張して返事を待った。

「…私もわたしの唇をこんな風に視たことはありませんから……でも…絵としては…素敵です……なんだか…照れてしまいますね……」

「あ、ありがとうございます…」

素直に嬉しかった。
そして完全に勃起していた。

それとなくスケッチブックで隠す。

【気付かれてないよな…部長は僕のためにしてくれてるんだ…こんなのバレたら変態扱い決定だ……でも、なんでここまで……】

後輩として期待をしてくれているのはなんとなく感じる。

絵の為なら、唇に触れさせることくらい平気と思っているのだろうか…。

【でも…これ以上はやっぱり想像するしか……】

そんなことを考えていると先輩が…

「少し…休憩しましょうか……プリンを一緒に食べませんか?……」

僕はもっと描きたいと思っていた。
先輩の唇を描いた感触は僕を昂らせていた。
それは決して邪な意味じゃない。
描き手として、部活じゃ感じることのなかった何かを掴みかけていた。

カッコよく言えば…芸術家としての感覚だ。

「そうですね…はい…休憩にしましょうか…」

それでも生理的な変化はやはり落ち着かせておきたかった。
僕は提案を了承した。

少し間を空けた僕に不思議そうに笑みを浮かべながら…

「少し待っていてください…紅茶でかまいませんか?…ここにはティーバッグしかありませんけど……」

【僕はそれしか飲んだことありませんって…】

僕は苦笑いしながら返事をした。

「ソファで寛いで遺伝ください……」

壁の向こうに消えた先輩がカップを用意する音をさせている。
僕はソファに移動して、股間を落ち着かせるよう努めた。

でもやはり唇の感触が拭えきれない。
そして、先輩のリアル…
制服の下に想いを馳せると尚更だった。
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