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第16章 アトリエ

私は肘を起こし、彼を見つめながら身体を反転させていく。
ベッドに両手をつき、膝をつく。
静かにシーツに額を埋めていった。

腰は上げたまま、膝は肩幅より少し狭めに開いている。
スカートはお尻を辛うじて隠しているだろう。

「こんな感じでどうですか？…後ろ姿なので直してもらってかまいませんよ……」

先輩は僕にお尻を向けてベッドに踞る格好をしている。
両手は顔のすぐ横で軽く握られていた。

「…僕が…いいんですか？…」

「もちろん…藤沢くんが描きたいようにしてください……」

僕は恐る恐るといった感じで手を伸ばしていく。
隠れているといっても辛うじてだ。
覗き込めばショーツは見えるほどに短い。
片手じゃだめだと、僕はスケッチブックと鉛筆をベッドに置いた。

両手を使ってプリーツスカートの裾を摘まむ。
あまり生地を擦らせないようにと静かに持ち上げていく。
まるで幕が上がるように…
クロッチが覗き、柔らかそうでいて、張りのあるお尻が露になっていった。

「前からだと藤沢くんが見えていたので大丈夫でしたけど…この格好だと少し不安ですね……」

私はそう呟くと膝を開きついたまま、足首を重ねてみた。

「…描くだけですから…僕を信用してください…」

スケッチブックと鉛筆を拾うと改めてショーツに包まれたお尻を見つめた。
前から視るのとは違う…お尻の割れ目が少しはみ出している。
その割れ目にショーツが食い込んでいて、依れたような皺を作っていた。
それがなんだか生々しくて、僕自身の下半身の変化を今更ながら意識してしまった。

【信用してくださいって言ったばかりだろ…】

自分を戒めるように鉛筆を動かし出す。
ショーツのヒップラインからはみ出す肉感は前からよりも艶かしい。
膝から下を内側に寄せているせいなのか…内腿はより深みを帯びて…そこは男を誘っているように思えてしまう。
やはり身を反転させたことでずれてしまったのだろうか、
張りつめていたクロッチにまで依れた皺ができていた。

マネキンに着せた展示品のような完璧な美しさが崩れていた。
先輩は生身の人間…そしてこの小さな布切れの下に確実にそれはある。

【本当に濡れていませんか？…】

クロッチに浮いた皺が先輩のリアルを掻き立てていく。

「どうしました？…手が止まっているようですが？……」

僕は次の指示を出したいと思っていた。