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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第20章 姉の事情
結奈が一方的に電話を切った後、私は陽翔に今日は来れないことを話した。
本当のことなど言えるはずがない。
私だって女なのだ。
電話の向こうで結奈が何をしていたか、見当くらいついた。
【絶対にこのまま黙ってなんて終わらせないから……】
結奈は熱を出して来れない、もしかしたらインフルエンザかもしれないからと。
少し前に陽翔は実際にインフルエンザを患った。
釈然としないながらも今日のところは納得してくれた。
お見舞いは?
連絡先くらい教えてよ…。
私はそれもはぐらかすように誤魔化し、無理に諦めさせていた。
こんな調子で仕事が決まりそうだから、もう家庭教師は終わりなんて告げられなかった。
【来週もまだ誤魔化せるかもしれないけど、それ以上は絶対に無理……なんとか結奈と話さなきゃ……】
そして、結奈はそれ以来私からの電話に出てくれない。
LINEを送っても既読スルーだった。
【まさか……でも、あれは一回きりだったはず……】
私は確かめる必要があると思った。
結奈と連絡がつかないまま一週間が過ぎた。
何度かパートの帰りに結奈のマンションに行ってみた。
外出しているのか、居留守を使われているのかも解らない。
もう9月が終わろうとしている。
「陽翔…やっぱりもう一週、家庭教師は飛ばすことにしたから……」
結奈からの申し出とするより、私が決めたことにした方がいい。
案の定、陽翔は不満を露にしてきた。
「なんだよそれ…もう来月入ったらすぐ中間テストだよ…結奈さんに勉強みてもらわなくてどうするんだよ…」
「だからでしょ…こんな時にまた病気にでもなったら…それこそ本末転倒じゃない…もう少し自分で頑張りなさい……陽翔はできる子だって証明してきたでしょ……」
「都合がいい時だけ使うなよ…」
【ごめんね…陽翔の言う通りよ……】
そして私は言いにくいことを口にした。
いつもならなんてことないで流されるが、これも本来結奈がいる時にという話だったのを覚えているかもしれない。
「ねぇ…陽翔…母さん…女子会に誘われてるんだけどどうしようか?……」
息子に委ねるなんてずるい母親だと解っている。
でも行かせてくれとは言えなかった。
「いいよ…行ってくれば…どっちにしろ結奈さんに会えないことに変わりないんだから……せいぜい一人で勉強してますよ…」
棘のある言い方に胸が痛む。
本当のことなど言えるはずがない。
私だって女なのだ。
電話の向こうで結奈が何をしていたか、見当くらいついた。
【絶対にこのまま黙ってなんて終わらせないから……】
結奈は熱を出して来れない、もしかしたらインフルエンザかもしれないからと。
少し前に陽翔は実際にインフルエンザを患った。
釈然としないながらも今日のところは納得してくれた。
お見舞いは?
連絡先くらい教えてよ…。
私はそれもはぐらかすように誤魔化し、無理に諦めさせていた。
こんな調子で仕事が決まりそうだから、もう家庭教師は終わりなんて告げられなかった。
【来週もまだ誤魔化せるかもしれないけど、それ以上は絶対に無理……なんとか結奈と話さなきゃ……】
そして、結奈はそれ以来私からの電話に出てくれない。
LINEを送っても既読スルーだった。
【まさか……でも、あれは一回きりだったはず……】
私は確かめる必要があると思った。
結奈と連絡がつかないまま一週間が過ぎた。
何度かパートの帰りに結奈のマンションに行ってみた。
外出しているのか、居留守を使われているのかも解らない。
もう9月が終わろうとしている。
「陽翔…やっぱりもう一週、家庭教師は飛ばすことにしたから……」
結奈からの申し出とするより、私が決めたことにした方がいい。
案の定、陽翔は不満を露にしてきた。
「なんだよそれ…もう来月入ったらすぐ中間テストだよ…結奈さんに勉強みてもらわなくてどうするんだよ…」
「だからでしょ…こんな時にまた病気にでもなったら…それこそ本末転倒じゃない…もう少し自分で頑張りなさい……陽翔はできる子だって証明してきたでしょ……」
「都合がいい時だけ使うなよ…」
【ごめんね…陽翔の言う通りよ……】
そして私は言いにくいことを口にした。
いつもならなんてことないで流されるが、これも本来結奈がいる時にという話だったのを覚えているかもしれない。
「ねぇ…陽翔…母さん…女子会に誘われてるんだけどどうしようか?……」
息子に委ねるなんてずるい母親だと解っている。
でも行かせてくれとは言えなかった。
「いいよ…行ってくれば…どっちにしろ結奈さんに会えないことに変わりないんだから……せいぜい一人で勉強してますよ…」
棘のある言い方に胸が痛む。