この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
背徳の障壁とその先にある翡翠
第2章 翡翠の肖像と悪夢の障壁
マーカスが出ていったあとに、アリエルは冷え切ってしまったティーポットを片付けていた。キッチンで翡翠のような涙を流しながら。
片付けが終わってベッドルームにくるとアリエルがいつも大切に使っている重厚な鏡台の引き出しを開き、中から一枚の紙切れを取り出し見つめていた。
今度こそは…。そう呟くと広すぎるベッドで泣き崩れていた…。
コンコン…コンコンコン。
誰かしら?
アリエルは封筒を元にあった場所にしまうと、鉛のような重い足で玄関に向かった。
アリエル?いるかい?
その声は…フランク?
ああ。そうじゃよ。おまえさんに話しがあってな。
ちょっと座らせてもらうよ。
ええ…どうぞ。今お茶でも入れますね。
構わんよ。気遣ってくれるなよ。
いいえ、いいんですよ。さっきうちの人に入れたのがありますから。
温め直しますね。ちょっとお待ちになってくださるかしら?
アリエルはキッチンに向かって先程片付けたティーポットを温め始めた。
どうかなさったの?フランク。
ああ、いやおまえさんを見ていると、若いときの妻のようでな。
気がかりなんじゃよ。
我慢しとるじゃろ?
アリエルは無言のままティーポットを見つめていたが、フランク側からは背中しか見えないため、どんな表情をしているのか分からない。
まあ何じゃあ…その。
うちのワイフと似てるなんて言われて良い気分はせんじゃろうが。
わしは心配なんじゃよ。
フランク…ありがとう。気にかけてくれて。
フランクの奥さん?フランクはあまり奥さんの話しをしないから分からなかったわ。確かお亡くなりになってますよね?
ああ…もう数年になるかの。
あの年の冬はいつもよりも寒くてのぉ。
ワシらはいつも暖炉のそばで暖まっていたなぁ。
昔話に花を咲かせたりして。
楽しかった。
ワイフとは長い付き合いだった。
いつもそばにいるのが日常だったが、ある年を境にだんだんとそれが無くなっていったんじゃよ。
ワシら農家は天候に左右されるからの。
思うように収穫ができなくなると、ワシが街に出て働かなならん。
ときには、街で寝泊まりしたりもした。
それほど多忙になってしまったんだ。
ワシは言い訳をしていた。
ワイフには何の落ち度もないんじゃが。
淋しかったと思う。
その頃からかの。身体を壊したんじゃ。
ワシは気づいてあげれなかったんじゃよ。
帰ってきたときには、冷たくなっておった。

/17ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ