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生きること、思うこと
第385章 己書Ⅱ
「初めまして、織作さんでしょうか?」
「はい、織作です、初めまして、よろしくお願いします…」
そんな挨拶があり、私は先生の隣の席に座るように言われました。
「初めての方は私の近くに座って頂くのよ…」
そう、にこやかに先生は言われます。
とても若くて優しそうな感じのする先生です。
6人掛けのテーブルにテーブルクロスを敷いて準備をしていきます。
己書は書だけでなく絵も描くのです。
その為の絵の具やカラー筆ペンなどを先生は用意していたのです。
先生が来られると次々と生徒さんが来ました。
私は次々とその生徒さんに挨拶してゆきます。
皆さん、優しそうな人ばかりでした。
この日、教室に来た生徒さんは私を含めて5人でした。
10時半になりお稽古が始まりました。
私を除く生徒さんは皆さんお題を選びその絵を描きそこに己書を描いてゆきます。
丁度、クリスマス前だったので『天使』の絵や冬なので『雪うさぎ』などの絵がありました。
私は先生からA4のコピー用紙を渡されてそこに筆ペンの腹を使って『グルグル』と黒丸を描いてゆきました。
この黒いグルグルが己書の基本になる様なのです。
それが終わると今度は薄墨で円を描いてゆきます。
これを『円相』と言うのですが禅の世界では円の最後は繋げずに隙間を開けて描くそうです。
この隙間は『呼吸』を意味するそうで禅の世界ではとても大切な事なのです。
この円相かなり難しいです(苦笑)

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