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生きること、思うこと
第385章 己書Ⅱ
初め、コツが掴めずにいた私を見ていた先生はコツを教えてくれました。
やはり、一人でやるより先生が居てくれた方が良いとこの時感じたのです。
コツを掴めた私は円相も描けるようになりました。
次にまたA4のコピー用紙を渡され、そこに縦に小さな円相を5個と横に5個描くように言われました。
出来上がった円相に今度は先生のお手本を見ながら『ひらがな』を描いてゆきます。
基本は黒のグルグルなのでそれを生かして50音を描いてゆきました。
この時点でかなり愉しくなったのは言うまでもありませんでした(笑)
今度は『絵手紙用ハガキ』に円相を描くように言われました。
ちょっとドキドキしながら私は円相を2枚のハガキに描いてゆきます。
それを見ると先生はこう言ってくれるのです。
「凄く上手に描けていますね…」
それを、聞くと物凄く嬉しくなりました。
次に『ありがとう、おかげさま』という文字を描いてゆくのですが、ハガキに描く前に練習でコピー用紙に描いてゆきます。
「文字をギュっと真ん中に寄せてパズルみたいに文字を嵌めて描いてくださいね…」
そう、先生は穏やかに言われるのです。
私は思わずこう言ってしまいました。
「む…難しいですね…」
それを聞くと先生は笑いながらこう言うのです。
「己書では『難しい』とか否定的な事は言ってはいけないのよ…」
そうなのです。
己書では『失敗』や『難しい』という言葉は存在しないのです。

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