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ジャスミンの花は夜開く
第13章 再開

初日であったため先輩の行動を真似しつつも、すぐ板についた。
憧れの街で仕事できる喜びに、昨日の一件を忘れかけていた時だった。
ホールを担当していた茉莉花の背後で、店のドアが開き、カップルの客が入ってきた。
「いらっしゃいませ」と元気に出迎えたものの、茉莉花の胸で何かがつっかえている。
席に案内し、二人と目が合った刹那、思い出した。
着ている服こそ違え、昨日、トイレで背徳な行為をしていた男女だ。
浅黒い肌のビジネスマンに釣り合わない雰囲気の女性。
クラブのホステスでもないし、会社員にも見えない。
どこにでもいる主婦、が一番しっくり来る身なりだ。
清楚な感じがそれを助長する。
どこかの奥様が、口の達者なセールスマンに付き合わされているような…。
でもそれを嫌がっていない空気。
そして個室の中で「ご主人様」と呼んでいた女性に、「アイ」と呼び捨てにしていた間柄。
独特の雰囲気というものは、見ている人間に自然と伝わる。
「メ、メニューでございます。お、お決まりになりましたら、お呼びください」
『初日なのに慣れてるね』と店長から褒められたものの、この二人に『再会』してしまい、カチコチに固まってしまった。
あれからこの二人はどこで何をしたのだろう…。
あのまま帰宅したのかしら…。
様々な妄想が生まれては消え、茉莉花のデルタはまた湿り気を帯びるのであった。
そんな茉莉花の変化などわからない先輩が耳打ちする。
「あれは不倫カップルね。間違いないわ」
「ど、どうしてわかるんです?」
茉莉花はまるで初見であるかように装った。
「接客を長くやってるとわかるの。雰囲気よ。雰囲気。楠さんも普通のカップルじゃなさそうだって思ってるんでしょ?」
「えっ?、ま、まぁ…」
「最近、ちょくちょく来るんだけどさ。なーんか、二人の世界っていうの?あの周りだけ変な空気で、接客するのイヤなのよね…」
やんわりと新入りの茉莉花に接客を頼むかのような口調であった。
昨日、目が合ってしまったことを後悔した。
知らぬが仏とはよく言ったものである。
席には通したものの、何も知らない先輩の何気ない一言によって、あの二人の接客をする羽目になってしまった。
ついチラチラと目が行ってしまう。
どんなトーンで何を話しているのだろう…。
接客するのは嫌なのに、好奇心はどんどんと膨らんでいく。
憧れの街で仕事できる喜びに、昨日の一件を忘れかけていた時だった。
ホールを担当していた茉莉花の背後で、店のドアが開き、カップルの客が入ってきた。
「いらっしゃいませ」と元気に出迎えたものの、茉莉花の胸で何かがつっかえている。
席に案内し、二人と目が合った刹那、思い出した。
着ている服こそ違え、昨日、トイレで背徳な行為をしていた男女だ。
浅黒い肌のビジネスマンに釣り合わない雰囲気の女性。
クラブのホステスでもないし、会社員にも見えない。
どこにでもいる主婦、が一番しっくり来る身なりだ。
清楚な感じがそれを助長する。
どこかの奥様が、口の達者なセールスマンに付き合わされているような…。
でもそれを嫌がっていない空気。
そして個室の中で「ご主人様」と呼んでいた女性に、「アイ」と呼び捨てにしていた間柄。
独特の雰囲気というものは、見ている人間に自然と伝わる。
「メ、メニューでございます。お、お決まりになりましたら、お呼びください」
『初日なのに慣れてるね』と店長から褒められたものの、この二人に『再会』してしまい、カチコチに固まってしまった。
あれからこの二人はどこで何をしたのだろう…。
あのまま帰宅したのかしら…。
様々な妄想が生まれては消え、茉莉花のデルタはまた湿り気を帯びるのであった。
そんな茉莉花の変化などわからない先輩が耳打ちする。
「あれは不倫カップルね。間違いないわ」
「ど、どうしてわかるんです?」
茉莉花はまるで初見であるかように装った。
「接客を長くやってるとわかるの。雰囲気よ。雰囲気。楠さんも普通のカップルじゃなさそうだって思ってるんでしょ?」
「えっ?、ま、まぁ…」
「最近、ちょくちょく来るんだけどさ。なーんか、二人の世界っていうの?あの周りだけ変な空気で、接客するのイヤなのよね…」
やんわりと新入りの茉莉花に接客を頼むかのような口調であった。
昨日、目が合ってしまったことを後悔した。
知らぬが仏とはよく言ったものである。
席には通したものの、何も知らない先輩の何気ない一言によって、あの二人の接客をする羽目になってしまった。
ついチラチラと目が行ってしまう。
どんなトーンで何を話しているのだろう…。
接客するのは嫌なのに、好奇心はどんどんと膨らんでいく。

