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ジャスミンの花は夜開く
第14章 窃視
視界に入ってきた女は40代くらいだろうか。
少しふっくらとした感じの女性だった。
アップにまとめられた髪が、妖艶さを醸し出している。
ダイニングキッチンで時間を作らず、すぐに寝室へと女が来たことは、その理由は一つしかない。
女が正座をして、やがて口を開いた。


「あのぉ…。今月もちょっと…、厳しいんです…」
「お前なぁ。先月も同じセリフを言っとったがな」
「これだけ家賃を安くしてやってるのに、か?」
「はい…」
「まだホストに通っとるのか?」
「は…はい…」


どうやら真上の住人はいわゆるホス狂のようである。
稼いだ金をホストにつぎ込み、生活費さえままならなくなるとは…。
東京という街の怖さを茉莉花は感じた。


「で、儂にどうしろと?」
「お家賃を…待っていただければと…」
「待ったところで払った試しはないはずじゃがな」
「そ…それは…」
「家賃を払わず寝るところがあって幸せ者じゃな?」
「そ…そのようなつもりはないのですが…」


力関係が如実に現れた会話である。


「じゃあ今月も、家賃と撮影料で相殺してほしいと?」
「は…はい…」
「お前が入れ込んでるホストも、これを知ったらどう思うかの?」
「そ…それは…、い…言わないでください…」
「有閑マダムだと思っていた太客が借金まみれで、毎月金をもらって動画撮影のモデルになってるなんて、想像しとるか?」
「も…もう、それ以上は…」
「『仰らないで?』か?」


女は俯いたまま、コクリと頷いた。
大家は「やれやれ」というよりも「しめしめ」という顔をして立ち上がり、手慣れた様子で部屋の四隅にカメラを設置したり、撮影の準備を始めている。
その間、女は正座をしたままピクリとも動かない。


茉莉花は『なにこれ、ドラマみたい…』と思いつつ、その様子を凝視せずにはいられなかった。
金のために男に抱かれる…。
入れ込んだホストに見栄を張るために…。


「じゃあ、いつものセリフから始めるかの」
「わ…わかりました…」


女は正座したままレンズを見つめてこう言った。


「今月もたっぷり愛していただきます。淫乱な私をご覧ください」


土下座のように深々とお辞儀をしてから立ち上がり、ゆっくりと着衣を脱ぎ始めた。
ファストファッションで包まれた内側から、男を魅惑する高級ランジェリーが顔を覗かせた。
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