この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ジャスミンの花は夜開く
第14章 窃視
それからほどなくして『ご主人様』と『アイ』は店を後にした。
茉莉花は目の前がチカチカするほど、股縄の光景が衝撃でならなかった。
先輩からも「どうしたの?コンタクトの調子でも悪い?なんか瞳孔が開いてる感じもするけど」と言われた。
店長は店長で「初日だもんな。そりゃあ疲れるさ」と勝手な思い込みをしている。
おかげでトイレでの出来事は誰にも知られることなく、茉莉花の心の中にだけ仕舞い込むことができた。


「もう、クタクタよ…」


コーポ弥生の102号室に戻った時は疲労困憊で、電気も点けずダイニングキッチンにある椅子にへたり込んでしまった。
この一両日での出来事が、あまりに現実離れしていたからだ。
半ば凌辱される形で今まで感じたことのない官能の津波に飲まれたと思ったら、今度は不倫カップル。
しかも普通の不倫ではない。
人目を忍んでいるのかもしれないが、その関係性を茉莉花は知ることになった。


「とんでもないところに来ちゃったのかな…私…」


憧れていた街だったにも関わらず、望んでいない現実に襲われた茉莉花は落胆の色を隠せなかった。


「なんか食べるか…」


ひとりごちでそう言うやいなや、自分の真上の部屋のドアが開けられる音が聞こえた。
スタスタとした足音は、スリッパのようなものを履いているからだろう。
やがて外階段をカンカンと降りる音がして、茉莉花の部屋の台所の窓の外を、女性と思われる人影が右から左へと横切った。


「あっ!そうだった!引っ越しの挨拶と手土産!」


寝室に踵を返し、地元の銘菓を入れた百貨店の手提げ袋に手をかけた瞬間、真っ暗だった寝室に一筋の灯りが差し込まれた。


あのドアスコープから漏れる灯りである。


今まさに挨拶へ行こうと思っていた女が、大家の部屋に吸い込まれた。
昨夜、そしておとといの夜のパターンからすれば、きっと同じ光景が繰り返されるのだろう。
しかし相手は茉莉花の真上、まだ顔を見たことがない202号室の住民である。


「ま…まさか…、上の人って、貼ってあった写真の中の誰かなのかしら…」


202号室の女性は、昨日大家の寝室で見た、あの卑猥な写真の中の一人なのかもしれないと思うと、茉莉花はドアスコープを覗かずにはいられなくなっていた。
自然と茉莉花の喉は、ゴクリと音を出して唾液を飲んだ。
/58ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ