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ジャスミンの花は夜開く
第13章 再会
アイのショーツの上に、縄でできたTバックのようなものが施されている。
淡い色のショーツとブラウンの縄のコントラスト…。
目を背けるべきだったが、初めて見る光景を茉莉花は凝視してしまった。


「知ってた?これね、股縄っていうのよ…」
「は…早く、お…お隠しください!」
「いいの…。見て…。もっと…見て…」


茉莉花の視線を浴びて、アイの息が荒くなってきた。


「ご主人様にしてもらったの。今夜、お風呂に入るまでこのままにしてないといけないの」
「そ、そんな!」
「でもね、あなたもいつかわかるかもしれないわ…。こうされることが悦びに変わるの…」
「と、とにかく、仕舞ってください!」


茉莉花は半ば強引にアイのスカートを下げ、裾を直した。
清楚な雰囲気の女性に、ここまでの秘密があったとは信じられない気持ちだった。


「こうしていることが、離れている時でも繋がっている証になるの。おかしいと思うでしょ?」
「お、おかしいか、おかしくないかは、ご自身で、お、お決めください。わ、私には、わ、わかりませんので…」
「そう…。世の中にはこんな女もいるって、思っておいてね。みんな仮面をつけて生きているの。あなたもそうじゃない?」


まるで見透かされているようで、アイの視線が怖く感じた。
トロンとしている視線なのにもかかわらず…。


「アルバイト初日から刺激が強かったわよね…。ごめんなさい。許してね…。今後、あなたにはご迷惑をかけることはしませんから」
「と、とんでもありません…」


深々と頭を下げられ、茉莉花もそれに応じた。
気まずい空気が流れたものの、先輩が入ってきた。


「楠さん、いる〜?」
「あっ!は、はい!」
「どうしたの?あっ、お客様もご一緒でしたか」
「い、いえ、個室の鍵の具合がちょっと…」


と、茉莉花が言いかけたところでアイが口を挟んだ。


「ちょっと鍵のかかり方がおかしいと思って来ていただいたんですけど、私の思い過ごしだったみたいです。おさわがせしてしまってすみませんでした。ありがとう。あなたは楠さんっておっしゃるのね。素敵な苗字だわ」


アイはそう言って化粧室から出て行った。
先輩から「はいはい、ホールに戻りましょう」と促されたものの、一連の告白と光景が茉莉花の頭の中を駆け巡っていた。
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