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青い煩い、少女の情動。
第9章 曖昧な心
[私も……]

私の想いの奔流は誰にも止められない。

[ずっと……ずっとずっとずっと、……響君のこと好きだったっぁぁぁ]

[最初に図書室に行ったときだって、100%下心だったし、本なんて全然興味なかったのにぃ……響君と話をするために頑張って読んだし………うぐっ、]

頬に大きな雫が伝う。
嗚咽と想いが交互に吐露されていく。
鼻水もでていて、目も当てられない。

[んぐっ、……スン、だって……]

地面に染みが出来る。
無意識に顔を拭った手が色々な液体にまみれるが、今はどうだっていい。

『それで、……返事は?』

目の前で号泣し始めた私を見て、
にわかに平常運転に戻った響君が微笑んで問う。

こんなの、一択しかない。

[よろしくお願いしますっ……うぅ……。]

『こちらこそ、宜しくお願いします、莉央っ』

返事を聞いて、やっと脱力した響君が、
ハンカチを差し出してくれる。

[ありがとうっ……ぅ]

鼻をかもうと思って、やめようと思って、迷って、結局、ひとおもいにチーンとやった。

今度、ハンカチをプレゼントしよう。

爽やかな風が長髪を揺らし、首筋にくすぐったい感触を残していった。

…………
…………

晴れて恋人になったにも関わらず、
2人は変に浮き足立つことはなく、代わりに、心地の良い沈黙を共有して、互いに膝がぶつかる近さで寄り添った。

雲の割れ目から斜陽が覗き、オレンジ色の光が2人を包む。

[ねぇ……、なんかベタなんだけどさ、響って呼んでいい?]

『うん……。莉央は莉央のままかな?』

[別に愛称でもいいんだよ?]

『いや、いいよ。莉央っていう名前が好きだから……。』

[名前だけ……?]

『全部。莉央の存在全部、好きだよ。』

なんだこのバカップルは。
見ただけで糖尿病まっしぐらだ。

だから、
これ以降は慎みをもって控えさせていただこう。
2人だけの秘密という奴だ。

 
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