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青い煩い、少女の情動。
第6章 音楽室とリコーダー

『いやぁ、莉央が疲れたとか、眠たいとか言うので、私が精一杯労っていたのですが、欲張りな莉央は響君にも労って貰いたと言い始めて……。』

[えっ、]

私は困惑して何も言葉が紡げない。

『そういうこと……。分かった。』

と響君は何故か勝手に理解をして勝ってに了承をして、私に向き直る。そして響君は彼の白くしなやかな右手を私の頭の上に乗せて、

『莉央っ、よく頑張ったね。』

と天使でさえも昇天してしまうほどの笑顔を私に向けた。美琴のふとももに頭を乗せている私の目を、終始彼の視線が捉えていて、蛇に睨まれた……いや違う、美神に笑みかけられたみたいに動けなかった。ふとももの上で動かない私に変わって、美琴が

『響君ありがとう。莉央は疲れが飛びすぎて昇天しちゃったみたい』

とお礼をつげた。

『ううん。莉央が元気になったんだったら良かったよ。いつでも言ってね。』

響君もそう言って自分の席に着いた。


授業開始のチャイムが鳴るまで、私の心臓の8ビートは隣の美琴にまで聞こえていたらしい。なにせ響君側からの始めての接触だったのである。
人工心臓だって空気を読んで拍動を主張するに違いない。

音楽の授業はリコーダーだった。私は楽器全般が上手くない、というよりべらぼうに下手だ。小さい時にピアノを習っていた時があったが、どんだけ練習しても上手くできなかった記憶がある。センスの問題なのだと思う。一応譜面が読めるので、それは役に立ったが、裏を返せばそれしか役に立っていないと言うことだ。

それはさておき、例に漏れず私はリコーダーが苦手だ。まず穴を押さえるのが既に難しい。ドなんてまともに鳴った覚えがない。そしてもっと難しいのが息の吹き方である。レガートタンギングってなんなんだろうといつも思う。美琴は持ち前の器用さでリコーダーも難なくこなすが、一方私はいくらやっても上手くいかないのだった。

うーん、諦めるか。

音楽は赤点を避けられれば万々歳である。そんな諦観を披露していると、先生が

『誰かやってみろ……、そうだなじゃあ若宮。』

聞いたら卒倒必至の声が私に届く。

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