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黒薔薇学園の白い百合たち
第1章 教育実習
「ええっと…日向由里くんですね?」
学園長は由里の履歴書に目を通して
私に柔和な眼差しを向けた。
「はい、よろしくお願いします」
「あなたは、当学園のOGなんですね?」
「はい、24期生になります」
「再び出身校を実習先に選んでいただけるとは
学園としては大変喜ばしいことです」
世代交代したのか
由里が知っている学園長ではなかったが
それでも勝手知ったる学園というのは懐かしいものが込み上げてくる。
「それならば学園内の案内など不要ですね?
少しばかり様変わりはしていますが
基本的にはあなたが在学中と何ら変わっていませんからご安心ください」
受け入れ体制はバッチリだとばかりに
学園長は履歴書をファイルに仕舞いこんだ。
「あなたには2年生のクラスを受け持っていただきましょう。
ほら、3年生は受験を控えてピリピリしてますから、その方が双方にとっても気楽でいいでしょ」
そう言って学園長は内線電話を使って
「土方先生、こちらに来ていただけますか?」と
一人の教諭を呼び出した。
ほどなくして一人の若い男性教諭が
学園長室に「お呼びでしょうか?」と
入室してきた。
「ああ、土方先生、待ってましたよ
ほら、以前にお話したかと思いますが
今日から教育実習生を受け入れます」
「はあ…」
君が実習生なのか?と
土方先生はチラッと私に視線を向けた。