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黒薔薇学園の白い百合たち
第1章 教育実習
「紹介しましょう
土方先生、こちらが教育実習生の…」
ええっと、履歴書を仕舞いこんでしまったので
私の名前が出てこずに
学園長は言葉に詰まった。
「日向です。日向由里と申します」
私は自ら名乗って
土方と呼ばれる教諭に頭を下げた。
「土方です。土方雅人と言います」
「土方先生、彼女をあなたのクラスに預けますので面倒を見てあげてください」
「えっ?うちのクラスに?」
何か不服ですか?と
学園長はギロリと土方先生を睨んだ。
「いえ…別に構いませんが…
うちのクラスはその…何というか…
ヤンチャな生徒が多いものですから」
「あ、そういうの慣れてますから」
私の在学中もクラスに数名の荒れた級友がいた。
多分、どこのクラスにも数人はそういう生徒がいることだろう。
「ほんとに?
それならいいんですけどね…」
心配げに私の顔を見つめながら
土方先生は不安そうな顔をした。
「彼女の専攻は物理だそうです
土方先生、あなたも物理でしたよね?」
「ええ…
そうですか…物理を…
それならしっかりと指導できそうです」
では、よろしくと
土方先生はフランクに握手を求めてきた。
緊張して手のひらに汗をかいていた私は
慌ててスカートで手をゴシゴシと拭って
土方先生の手を握り返しました。