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黒薔薇学園の白い百合たち
第17章 帰京
翌日…
土方夫妻は二人ならんで教壇に立って
朝のホームルームを開いていた。
「なにもかも、みんなのお陰だ!
改めて礼を言わせてもらう
すまなかった、ありがとう!!」
土方先生は生徒たちを前にして
深々と頭を下げた。
あ・うんの呼吸で私も夫の隣で生徒たちに頭を下げた。
「いよっ!ご両人!!
これぞまさしく夫婦としての共同作業ですね~」
成美が二人を茶化すと
クラスにドッと笑いが漏れた。
「ねえねえ、せっかくなんだから
新婚夫婦のキスを見たいと思わない?」
愛実がそう言うと
ついでとばかりにスマホを取り出して
キスシーンを写メしようと最前列まで飛び出してきてスマホを手に構えた。
「こ、こら!お前たち調子に乗るな!
キスなんてものはだな、
二人っきりになった時にするもんだ!」
生徒たちを叱りつけながらも
雅人ったら顔を真っ赤にしちゃってます。
「いいじゃん、いいじゃん!
キスを見せてくれたら授業も真面目に受けるからさあ」
「何を言ってるんだ!授業を真面目に受けるのは当然だろうが!!」
「私、キスしてもいいよ」
私の宣言に雅人は目を丸くしていた。
「だって…この子達がいなかったら
私たち、この場に立っていられなかったんですもの」
さすが、俺たちの由里ちゃんだぜ~!!
私の一言で教室は蜂の巣をつついたような大騒ぎになりました。
「キスするんならサッサと済ませてくださいね」
いつの間にかA組の河野先生もB組の西田先生もC組の教室を覗き込むようにして身を乗り出しています。
「騒がしすぎてこちらのホームルームに支障が出るんですよ」
ほら、サッサとキスしてこの子達を静かにさせてくださいよね
そんなことを言いながら
二人の先生もニヤニヤと笑っています。
「じ、じゃあ…ちょっとだけ…」
そう言って雅人は私にキスをしてくれた。
ちょっとだけと言いながら、
それはとても長いキスでした。
「もういいんじゃないの~?」と
生徒たちが「呆れてしまうよ」と囃し立てた。
完