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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会

「えっ?これって…婚姻届やんか!」

圭介は二十年ぶりに見る用紙に目を丸くした。

「まあ!じゃあ、あのお二人、結婚なさるのね?」

清美も久方ぶりに見る婚姻届を目を潤ましながら見つめた。

「よっしゃ!目出度いがな!
祝杯や!二人をこっちに呼んだり!」

圭介はコップを人数分用意し始めた。

「そやから判子!判子がいるんや!!」

また二人の結婚に邪魔物が介入しないうちに
さっさと市役所に受理して貰いたくて
留美子は地団駄を踏んだ。

「市役所は逃げへんって
明日の朝一番に届け出たらええやんか」

「そうよ、お二人の気持ちが固まったのなら
何も慌てなくても…」

圭介も清美も事情を掴めていないので
やけにのんびりムードで
とにかく祝杯だと
呑むことばかり考えている。

「あかんねんて!
由里がここに逃げて来たんも
二人の愛を邪魔する人たちがいるからなんよ!
そんな人たちが手を出せんようにするために
慶事ごとはさっさと済まさんとあかんねん!」

留美子の鬼気迫る勢いに
圭介も重い腰を上げた。

「よっしゃ!お父ちゃんに任しとき!
吉田の判子屋を今から叩き起こしたるわ!」

威勢のよい圭介の頼もしさに
清美はうっとりとした眼差しで見つめていた。


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