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黒薔薇学園の白い百合たち
第16章 婚姻
判子屋の吉田さんは爆睡していた。
よもや、こんな夜更けに叩き起こされるとは思いもしていなかった。
ピンポーン…
インターホンが鳴ったので
目を覚ましたものの
「こんな夜更けに迷惑な!」と
知らぬ存ぜぬを決め込んで
無視をしようとした。
ピンポーン!
ピンポーン!
ピンポーン!
まるで目覚まし時計のアラームのように
インターホンは鳴り止まない。
おまけに引き戸をガンガンガン!と叩きまくられては無視を決め込む訳にはいかない。
「誰やねん!こんな夜更けによ!」
インターホンの応答ボタンを押すと
モニター画面に思いっきりむさ苦しいオヤジの顔が写し出された。
「何やねん!食堂のオヤジやないか」
いい女と遊び回っている極楽の夢を見ていたのに
叩き起こされて機嫌はMAXに悪かった。
「夜分にすんまへんなあ、
判子、売って欲しいねんけど」
判子を売ってくれやと?
アホも大概にせえよと
インターホン越しに叱り飛ばした。
「無理を承知で頼んでんねん!
頼むわ~、近所のよしみで
判子を売ってくれへんか?」
あかんあかん!
明日まで待てばええやないか
そう言って判子屋の吉田さんは寝室に向かいかけた
すると、たちまちインターホンが再び
ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!と
チャイムを連打された。
こうなっては寝るどころではない。
さっさと判子を売ってしまって
お引き取り願おうと店のドアを開けた。