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黒薔薇学園の白い百合たち
第3章 教育学部の沢渡くん

彼、沢渡くんに抱かれたのは
いよいよ教員実習が始まる一週間前でした。

決起集会と称して
同じセミナーの仲間同士が集って
飲み会を開いたんです。

同じように教員を目指す人たちなので
決起集会は和気あいあいと時間が流れてゆきました

「日向はどこの学校に受け入れてもらうんだい?」

「私?私は母校の黒薔薇学園を…」

「まあ、あそこなら気楽でいいよな
偏差値も高くないだろうしな」

「沢渡くん、あなた軽く私の母校をバカにしてるよね?」

「バカになんかしていないさ!
気楽でいいなと言ったまでさ
俺なんてT大付属高校だぜ
もしかしたら俺より学力が高いんじゃないかと
今からハラハラドキドキさ」

ふ~ん…T大付属高校かぁ~
黒薔薇とはレベチよね
それゃあ、バカにするようなセリフも出るわよね

「しかし、日向とは下宿が隣どうしなのに
こうしてゆっくり話す機会がなかったよな」

「あらそう?私的にはけっこうあんたと話したつもりなんだけど」

「いや、そうじゃなくてさ…
いい関係にならなかったなあってさ」

「いい関係?」

「ほら、普通さあ、部屋が隣どうしなら
なんていうか、自然にさ、お互いの距離が近づくというか…」

「あはっ、なにそれ?
あんたさぁ、もしかして私を口説いてる?」

ああ、口説いているのさ
そう言って沢渡くんは
私の手を握ってきた。

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