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黒薔薇学園の白い百合たち
第3章 教育学部の沢渡くん
「ほら、そこぉ!
何をヒソヒソ話してんだよぉ!
今夜は徹底的に呑むって言ったろ?」
幹事役の学生が
イチャイチャするなよとばかりに
私に無理やり強い酒を飲ませた。
成人しているとは言え
あまりこうしてお酒を飲む機会がなかった私は
案の定酔いつぶれてしまった。
「次!カラオケに行こうぜ」という
威勢の良い声がグヮングヮンと耳鳴りのように聞こえた。
「ごめんなさい、私、酔いが回ってきちゃって」
それだけ告げるとトイレに駆け込んだ。
ひとしきりリバースをしてトイレから出ると
すでに決起集会はお開きになって
宴会場には誰も残っていなかった。
『ちょうどいいかしら…
カラオケは得意じゃないし…』
無理やり連れて行かれたらどうしようかと思っていただけに
置いてけぼりを喰らったのはラッキーだと思いました。
「大丈夫?かなり酔っているみたいだけど」
お店を出ると
沢渡くんが心配してカラオケに行かずに
私を待っていてくれました。
「カラオケ…行かなくていいんですか?」
「行けるわけないだろ
日向が心配で、それどころじゃねえよ」
あら、案外と優しいのね…
「じゃあさ、心配ついでに連れて帰ってくれる?」
足元がおぼつかないので
同じマンションだから気兼ねなくそう言えました。
「ああ、いいよ」
私が覚えているのはそこまででした。