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少し愛して
第1章 出逢い
佑貴は自分の財布を床に落としたのである。
千佳はそれをすかさず拾い上げる。
「福山くん、しっかりしてよ…」
「わ、分かってるって…」
千佳は内心ハラハラドキドキだった。
店の店員がその様子をみてこう言ってきた。
「お客様、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。ちょっと飲みすぎただけなんで…」
千佳は慌ててそう言葉を返した。
佑貴はようやく会計を済ませる事が出来た。
佑貴はよくバーなどで酩酊してはバーを出禁になっていたのだ。
この日は千佳がいてくれたのでそれを免れたのである。
千佳は佑貴の身体を抱えながら地下のバーから階段を上り地上へと出た。
外はすでに人通りは少なく、ひっそりとしていた。
時刻は夜の12時を回っていた。
道行く人もまばらだった。
地上に出て直ぐのことだった。
千佳はショーウィンドウのガラスに背を押し付けられて佑貴からいきなりキスをされたのだ。
始め千佳は状況が呑み込めなかった。
1度目のキスを終えてからだった。
「え?ふ、福山くん…」
「山崎さん、俺、山崎さんの事ずっと好きだったんだけど…」