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少し愛して
第1章 出逢い
そもそも吉田との交際も会社の人たちには知られていなかった。
ひっそりと付き合っていたのだ。
「私、あなたと別れたいの…」
「どうしても俺じゃダメなのか?そんなに福山が好きなのか?」
「ええ、そうよ…」
「そうか、分かった、勝手にしろ!!」
「そうするわ。借りたお金は返すから待って欲しいの…」
「そんなことはどうでもいい!!」
吉田は千佳に100万入った通帳とキャッシュカードを渡していたのだ。
その金で縛りつけようとしたのだった。
だが、千佳はそれを使わなかった。
ただ、通帳とキャッシュカードを手元に置いていただけだった。
「じゃ、もう帰るわ…」
「ああ、帰れ…」
こんな会話があり二人は別れてしまったのである。
千佳は帰る道すがら、これでようやく自分は自由になれると思っていた。
そう、今までが余りにも異常だったのだ。
吉田は千佳と結婚を考えている様だった。
だが、結婚しても長続きしないだろう…と、千佳は思っていたのである。
これで全部終わった。
内心ホッとしていたのであった。