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欲しいんでしょ
第3章 指夢
これからどんな顔で卓に接すればいいんだろう。
悶々と考えていると、後ろから急に声をかけられた。
「先輩!お早うございます」
「ひゃいぃ!?」
「先輩…」
声をかけてきたのは同じ吹奏楽部の後輩、新田愛実(にいだまなみ)だった。
なぜかあたしを見て目くじらをたてている。
「先輩学校行かないんですか?足を動かさないと目的地には着かないですよ?あと声裏返ってます。」
「え、ありがとう!今から動かすからね!」
そう言うと愛実ちゃんは呆れたような
でも楽しそうな笑顔をあたしに向けた。
意志の強そうな瞳が、
あたしにはいつも眩しかった。
あたしが後輩みたい♪
「よーし、愛実ちゃん、一緒に学校行こうかー!」
愛実ちゃんはクスッと笑って
「ちゃんと付いてきて下さいよ」
と言った。
(愛実ちゃん…格好いいな)
気付いたら足取りは軽くなっていた。