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全部、夏のせい
第8章 暗雲〜東京、横浜、そして…
まだ、後期の授業が始まるまでには時間があったけど、
2ヶ月の遅れを取り戻そうと、
司法試験予備校に通ったり、図書館で勉強をして過ごした。

アラムからは連絡はないけど、
ビザが取得出来たらすぐに日本に来てくれることになっていた。



二週間ほど経っても、まだ、連絡は来なくて、
いつもならやってくる生理も、来なかった。


手帳を見て、比較的規則的な周期だから、
アラムと愛し合ったあの頃が、
排卵期だったんだと気づいた。


更に二週間ほど経っても、
やっぱり生理は来ない。

恐る恐る検査キットを薬局で買って調べてみると、
陽性だった。


嬉しさと不安が一気に押し寄せてきたけど、
それを分かち合う筈のアラムが隣に居ない。


誰にも言えないまま、後期の授業が始まり、
軽い悪阻に耐えながら通学した。


このまま、アラムに会えなかったら?

ううん。
そんなことはない。

私がしっかりしないと!


そう言い聞かせながら、
季節は秋から冬へと向かっていった。




そして、待ちに待った日が、
唐突にやってきた。

その日は午後、休講だったので、
図書館で勉強をして過ごしていた。

マナーモードにしている携帯が震えているのに気づいて、
慌てて携帯を握り締めて外に向かいながら通話ボタンを押すと、
温かいアラムの声が聴こえた。


涙で声が出ない私に、

「マーサ?
聴こえる?
ようやくビザが取れて、
成田に着いたよ?
この後、何処に向かえば良いのかな?」


泣きながらフランス語で話す私を、
怪訝そうな顔で観て、
見知らぬ学生達が通り過ぎていく。


私はリムジンバスで、横浜まで来るように伝えた。

とても、いきなり両親にアラムを紹介するのは難しいと思ったから。


まずは、横浜の祖母の処に、
アラムを連れて行って紹介しようと思った。


図書館に戻って、
広げていたノートや六法全書をリュックサックに入れて、
とにかく、横浜に向かおうと思った。

何だか、お腹がつっているような感じがして、
もう一度、席について、
そっとお腹をさすってみる。


独りで産婦人科に行くのはとても出来なくて、
まだ、診察も受けていなかったけど、
4ヶ月から5ヶ月目にはなっている筈だった。


転ばないようにと気をつけながら、
とにかく横浜に向かった。
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