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全部、夏のせい
第8章 暗雲〜東京、横浜、そして…

猫舌なので、
紅茶が冷めるのを待ちながら、
アップルパイを一口、食べようとしたら、
シナモンの香りが強かったようで、
吐き気に襲われてしまう。
慌てて、
「ちょっと、ごめんなさい」と言って、
席を立ってお手洗いに行って、
吐いてしまう。
落ち着いてから、手を洗ってうがいをして、
ついでに顔を洗ってからリビングに戻った。
祖母が少し心配そうな顔をしながら、
「真麻ちゃん、ひょっとして、
おめでたじゃないの?」と日本語で言った。
私がそっと頷くと、
「そう…。
おめでとう。
でも…パパがまた、大騒ぎしそうね?」と言った。
「マーサ、どうしたの?
具合悪いの?」と、
アラムがオロオロして私を見るので、
私は深呼吸をしてから、ゆっくり説明した。
「アラム、赤ちゃんが出来たの。
独りで不安で、
まだ、病院には行ってないけど、
検査薬で陽性だったし、
悪阻もあるの…」
「えっ?」と固まった後、
「ああ!
マーサ!!
凄く嬉しいよ。
どうしよう?
病院に行かないと!」と早口で言った。
「あのね。
この時間は病院、開いてないのよ?
落ち着いて?」と、
祖母が笑う。
「わたくしも、今、聴いたばかりで、
サプライズだわね?」と、ウィンクをする。
そして、真剣な顔をして、
「あなた達、本当に結婚したいなら、
よくよく作戦を立てないとダメよ?」とフランス語で言った祖母に、
「いいえ。
僕達はもう、結婚しました。
エクスのカトリック教会で、
カタヤマ神父様に祝福していただきました」とアラムが言った。
「ちょっと、僕の方の事情と、
書類の不備で、
届出を受理して貰えなかったんです」と、
更に説明すると、
「まあ!
懐かしい名前だわ!
真麻ちゃんが洗礼していただいた時は、
お若かった記憶だけど、
随分、ご立派になられたんじゃないかしら?」と祖母が言う。
「僕、写真を持ち歩いてました。
ご覧になりますか?」と言って、
アラムは足元に置いていた革のバッグから、
大切そうに封筒を出した。
アリが持たせてくれた写真を取り出して、
テーブルに並べて祖母に見せてくれた。
紅茶が冷めるのを待ちながら、
アップルパイを一口、食べようとしたら、
シナモンの香りが強かったようで、
吐き気に襲われてしまう。
慌てて、
「ちょっと、ごめんなさい」と言って、
席を立ってお手洗いに行って、
吐いてしまう。
落ち着いてから、手を洗ってうがいをして、
ついでに顔を洗ってからリビングに戻った。
祖母が少し心配そうな顔をしながら、
「真麻ちゃん、ひょっとして、
おめでたじゃないの?」と日本語で言った。
私がそっと頷くと、
「そう…。
おめでとう。
でも…パパがまた、大騒ぎしそうね?」と言った。
「マーサ、どうしたの?
具合悪いの?」と、
アラムがオロオロして私を見るので、
私は深呼吸をしてから、ゆっくり説明した。
「アラム、赤ちゃんが出来たの。
独りで不安で、
まだ、病院には行ってないけど、
検査薬で陽性だったし、
悪阻もあるの…」
「えっ?」と固まった後、
「ああ!
マーサ!!
凄く嬉しいよ。
どうしよう?
病院に行かないと!」と早口で言った。
「あのね。
この時間は病院、開いてないのよ?
落ち着いて?」と、
祖母が笑う。
「わたくしも、今、聴いたばかりで、
サプライズだわね?」と、ウィンクをする。
そして、真剣な顔をして、
「あなた達、本当に結婚したいなら、
よくよく作戦を立てないとダメよ?」とフランス語で言った祖母に、
「いいえ。
僕達はもう、結婚しました。
エクスのカトリック教会で、
カタヤマ神父様に祝福していただきました」とアラムが言った。
「ちょっと、僕の方の事情と、
書類の不備で、
届出を受理して貰えなかったんです」と、
更に説明すると、
「まあ!
懐かしい名前だわ!
真麻ちゃんが洗礼していただいた時は、
お若かった記憶だけど、
随分、ご立派になられたんじゃないかしら?」と祖母が言う。
「僕、写真を持ち歩いてました。
ご覧になりますか?」と言って、
アラムは足元に置いていた革のバッグから、
大切そうに封筒を出した。
アリが持たせてくれた写真を取り出して、
テーブルに並べて祖母に見せてくれた。

