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全部、夏のせい
第8章 暗雲〜東京、横浜、そして…

目を細めて微笑みながら写真を観ていた祖母は、
「お茶、冷めちゃったわね?
カフェイン、良くないから、
焙じ茶を淹れてくるわね?」と言って、
席を立ってしまう。
アラムは私の手をそっと握って、
「マーサ、身体は大丈夫?
横になった方が良いんじゃないのかな?」と言う。
「妊娠は病気じゃないから、
大丈夫よ?
でも…」
「でも?」
「ちょっと心細くて、
淋しかったの」と言うと、
アラムは大きい身体を折り曲げるようにして私を抱き締めて、
「本当に時間が掛かってしまった。
独りで待たせて、ごめん」と言った。
「これ、飲めるかしら?」と、
大振りのマグカップに焙じ茶を淹れて持ってきてくれて、
アラムは香りを嗅いでからゆっくり飲んで、
「香ばしい…スモーキーな香りです」と言った。
私は少し冷めるのを待とうと思って、テーブルにカップを置いたままにした。
祖母が、
「それで、結婚に際しての、
アラムの事情って、なんでしたの?」とアラムに尋ねた。
アラムはゆっくりしたフランス語で、
一つ一つ、丁寧に説明した。
自分の国は、
四人まで妻を娶ることが出来ること。
自分が17歳の時に、21歳の女性と結婚したけど、
夫婦生活を送った訳ではなく、
浮気もされていたこと。
今回の留学で私に出会って、
とても惹かれて、
結婚したいと思ったこと。
でも、第二夫人にだなんて、
とても私に言えず悩んだこと。
そして、不貞行為を理由に正式に離婚して、
フランス滞在中に教会にも通って、
改宗した上で、結婚式をあげたこと。
役所で届出をしようとしたけど、
自分の離婚についての裁判所の決定だけでは、
自分が独身であるという証明にならなくて、
婚姻届を受理して貰えなかったことも説明してくれた。
「この写真が、フランスでの結婚式の様子なのね?
なるほど」
「それで、結婚式が終わった夜と、
パリに移動して、マーサが帰国する前夜に、
マーサと結ばれました。
あ!
勿論、結婚前は子供を成すような行為はしませんでした」とアラムが付け加えて、
私の手を握るので、
私は紅くなってしまった。
「お茶、冷めちゃったわね?
カフェイン、良くないから、
焙じ茶を淹れてくるわね?」と言って、
席を立ってしまう。
アラムは私の手をそっと握って、
「マーサ、身体は大丈夫?
横になった方が良いんじゃないのかな?」と言う。
「妊娠は病気じゃないから、
大丈夫よ?
でも…」
「でも?」
「ちょっと心細くて、
淋しかったの」と言うと、
アラムは大きい身体を折り曲げるようにして私を抱き締めて、
「本当に時間が掛かってしまった。
独りで待たせて、ごめん」と言った。
「これ、飲めるかしら?」と、
大振りのマグカップに焙じ茶を淹れて持ってきてくれて、
アラムは香りを嗅いでからゆっくり飲んで、
「香ばしい…スモーキーな香りです」と言った。
私は少し冷めるのを待とうと思って、テーブルにカップを置いたままにした。
祖母が、
「それで、結婚に際しての、
アラムの事情って、なんでしたの?」とアラムに尋ねた。
アラムはゆっくりしたフランス語で、
一つ一つ、丁寧に説明した。
自分の国は、
四人まで妻を娶ることが出来ること。
自分が17歳の時に、21歳の女性と結婚したけど、
夫婦生活を送った訳ではなく、
浮気もされていたこと。
今回の留学で私に出会って、
とても惹かれて、
結婚したいと思ったこと。
でも、第二夫人にだなんて、
とても私に言えず悩んだこと。
そして、不貞行為を理由に正式に離婚して、
フランス滞在中に教会にも通って、
改宗した上で、結婚式をあげたこと。
役所で届出をしようとしたけど、
自分の離婚についての裁判所の決定だけでは、
自分が独身であるという証明にならなくて、
婚姻届を受理して貰えなかったことも説明してくれた。
「この写真が、フランスでの結婚式の様子なのね?
なるほど」
「それで、結婚式が終わった夜と、
パリに移動して、マーサが帰国する前夜に、
マーサと結ばれました。
あ!
勿論、結婚前は子供を成すような行為はしませんでした」とアラムが付け加えて、
私の手を握るので、
私は紅くなってしまった。

