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全部、夏のせい
第9章 愛別離苦
「僕の国は少し混乱しているけど、
クーデターは未遂に終わったようで、
父も無事みたいだ」

「それは良かった!
ねえ?
お義父様、日本にお呼び出来ないの?」

「んー。
それは難しいよ。
まだ元首みたいなポジションだから。
民主的な選挙をやって、
ポジション譲ったら来れるかな?
でも、頑固だから、来ないかな?」と笑う。


「でね。
まだ、国内は混乱していて、隣国へ難民として人が流れ込んでたり、
色々なんだって。
それで、僕、その支援に行きたいんだ」

「えっ?」

「本国には入らないよ。
当事者だから、冷静な判断出来ないだろうって言われてる。
その代わり、隣国で、
難民として逃れて来た人を助けたいと思う。
言葉も出来るし、気持ちも解るから…」

「だったら、私も行く」

「えっ?
ダメだよ。
危険だから」

「じゃあ、アラムもそんな危険な処、
独りで行かないで?」

「いや。
隣国だから、そんなに危険じゃない」

「だったら、
私も行く。
アダムも連れて行ける?
それくらい、安全なの?」と言うと、
アラムは黙り込んでしまう。



話を聴いていた祖母が見兼ねて、
会話を遮った。


「真麻ちゃん、アラムが困ってるじゃない?
だったら、
先にアラムが行って、
色々整えて貰ってから合流すれば?
その時はわたくしも一緒に行くから!」

「えっ?」

「あら。
わたくし、看護婦の真似事は出来るのよ?
野戦病院でお手伝いしたこともあったもの!」と、
澄ました顔で言うので、
笑ってしまった。


「何処に居ても、安全ってことはないけど、
家族が離れ離れは不安で淋しいものだもの。
アラム、それで良いかしら?
必ずわたくし達を呼び寄せてくれるわね?」と祖母が言うと、
アラムは少し困った顔ながらも、首を縦に振った。


「じゃあ、準備して過ごしましょうね?
医薬品とか?
必要なモノ、リストアップしないとね?」と祖母は笑った。




そして、その翌月、アラムは独り、
旅立った。
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