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全部、夏のせい
第9章 愛別離苦

フランスの事務所にも、私が衛星電話で聴いた程度の情報しか、
今はなく、混乱しているとのことだった。
現地で二人の職員が、何者かに連れ去られて行方不明になっている。
それしか判らない。
翌日、私は午前半休を取り、
隣国の大使館にビザを取りに行った。
事情を話すと、
なるべく早く出せるようにするけど、
1週間ほどかかると言われてしまう。
そして、そのまま職場に戻り、
所長に休暇をいただきたいとお願いした。
「どうしましたか?
第二子でも?」と優しい顔で言われて、
思わず震えながら泣いてしまう私に、
少し狼狽えながら、事情を聴いてくれるので、
夫が赴任先で行方不明になったという連絡があったので、
探しに行くつもりだと説明した。
「お父様はご存じなんだろうか?」と、
唐突に言われて、
「父とはもう、3年近く話もしておりません」と言うと、
「連絡してあげてください。
心配されると思うよ?
仕事は取り敢えず、休暇ということで…」と笑ってくださった。
帰宅して、祖母に「お願いがあります」と話をした。
アラムの情報を自分で確かめたいから、
隣国は行ってくる間、
アダムを看ていて欲しいと。
祖母は珍しく反対した。
「もしも、真麻ちゃんに何かあったら!
アダムが独りぼっちになるじゃない?」
「本当は、そんなに危険なエリアではなかったはずなの。
何かの手違いとか、勘違いで、
ちゃんと何処かに居るはずだから…」と言うと、
「だったら、私とアダムも一緒に連れて行って?
そして、無事に帰って来ましょう?
アラムと4人で一緒にね?」
祖母はそう言って笑うと、
「さあ。
明日、私達の分のパスポート申請とビザの手配ね?
気候とか、どうなのかしら?」と言った。
頑固な祖母は、
後には引かないだろう。
アラムを探しに、
三人での渡航準備をしながら、
毎日、フランスの事務所にも電話連絡を続けた。
新しい情報はなかったけれど、
あちらでも現地に人を送ることになっていた。
希望はある。
そう信じていた。
今はなく、混乱しているとのことだった。
現地で二人の職員が、何者かに連れ去られて行方不明になっている。
それしか判らない。
翌日、私は午前半休を取り、
隣国の大使館にビザを取りに行った。
事情を話すと、
なるべく早く出せるようにするけど、
1週間ほどかかると言われてしまう。
そして、そのまま職場に戻り、
所長に休暇をいただきたいとお願いした。
「どうしましたか?
第二子でも?」と優しい顔で言われて、
思わず震えながら泣いてしまう私に、
少し狼狽えながら、事情を聴いてくれるので、
夫が赴任先で行方不明になったという連絡があったので、
探しに行くつもりだと説明した。
「お父様はご存じなんだろうか?」と、
唐突に言われて、
「父とはもう、3年近く話もしておりません」と言うと、
「連絡してあげてください。
心配されると思うよ?
仕事は取り敢えず、休暇ということで…」と笑ってくださった。
帰宅して、祖母に「お願いがあります」と話をした。
アラムの情報を自分で確かめたいから、
隣国は行ってくる間、
アダムを看ていて欲しいと。
祖母は珍しく反対した。
「もしも、真麻ちゃんに何かあったら!
アダムが独りぼっちになるじゃない?」
「本当は、そんなに危険なエリアではなかったはずなの。
何かの手違いとか、勘違いで、
ちゃんと何処かに居るはずだから…」と言うと、
「だったら、私とアダムも一緒に連れて行って?
そして、無事に帰って来ましょう?
アラムと4人で一緒にね?」
祖母はそう言って笑うと、
「さあ。
明日、私達の分のパスポート申請とビザの手配ね?
気候とか、どうなのかしら?」と言った。
頑固な祖母は、
後には引かないだろう。
アラムを探しに、
三人での渡航準備をしながら、
毎日、フランスの事務所にも電話連絡を続けた。
新しい情報はなかったけれど、
あちらでも現地に人を送ることになっていた。
希望はある。
そう信じていた。

