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全部、夏のせい
第9章 愛別離苦
アラムのお父様が言った、
「もう、殺されて、
何処かに捨てられている」という言葉が、
心に突き刺さって重たくのし掛かる。


同じ地域で、
同じ神様を信仰する方の言葉は、
とても現実的で、
確かにそうかもしれないと思う。


でも、自分の目で確かめるまでは信じない。


そう思っていた。



そんな時、父がふと、こう言った。

「仏教の言葉だけど、
『愛別離苦』っていうのがあるんだ。
四苦八苦ってあるけど、
四苦は、人間だけでなくて、動物にもある苦しみ。
生老病死の四つの苦しみ。
でも更にその上に四つの苦しみが、人間だけにはあるんだよ。
その中の一つが、
愛別離苦(あいべつりく)。
愛する者と別れる苦しみ。
どんなに愛していても必ず永遠の別れるがやってくる。
これが病気とかで判っているなら、残り少ない時間をしっかり過ごして、別れに備える準備が少しは出来るかもしれないけど、
事故や事件でいきなり亡くしたら…。
苦しくて、辛くて、何も出来ない自分も歯痒くて。
周りから諦めなさいと言われてもとてもそんなこと、出来なくて…」

父の言葉を聴きながら、私は涙を流していた。

「でも、人間だからこそ、
それをなんとか、乗り越えようともがいて、進んでいけると思うよ。
諦めるというより、乗り越える。
心にその相手を想いながらも、
一緒に進んで行って、
いつか、自分が亡くなった時に胸を張って会えるようにする。
きっと、カトリックの天国だって同じだろう?」と静かに言った。


「アラムが行きていたら、また、会える。
残念ながら亡くなっていても、
自分が亡くなった後に、また会える。
その日まで、アラムのことを忘れずに、
しっかりアダムを育てて、
お前が前を向いて歩くことを、
アラムは願っているんじゃないかな?」と言って、
子供の頃の私にしたように、ほっぺをそっとつついて笑った。



アラムのお父様が連絡係にしたのは、
あの、アリだった。

定期的に連絡はくれたけど、特に進展はないままだったけど、
「多分、もう…」ということを、
アリも時折、口にするようになっていた。


愛別離苦。

いつまでも泣いてはいられない。
その言葉を胸に刻んで、
私は前を向いて歩き始めることを決めた。
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