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全部、夏のせい
第10章 再びのエクス、そして隣国へ
「結構、出血したみたい。
熱はない?
痛みは?」と言いながら、
手を額に当てると、
アリは困った顔をしている。


「えっ?」と言うと、

「洗ってくれたから、
服が…ズボンの方まで濡れてしまって…」と言われた。


「ああ…。
ごめんなさい。
慌ててしまって。
お着替えはあります?
何か、着替えを貰ってきますね?」と言うと、

「外にいるヤツに、
俺の荷物をって言ってくれれば…」と言われて、
慌てて外に出て、そう伝える。


お部屋に戻るのもと思って外に居ると、
アラムのお父様が出て来て、

「マーサは手際が良くて、
度胸があるね?」と笑った。


少しすると、アリも外に出て来て、
「ありがとう」と言った。


「あの…。
私が投げ飛ばしたから、
怪我が酷くなったんじゃないかしら?
大丈夫?
熱があるようなら、
抗生剤も飲んだ方が良いから…」と言うと、

「それで、さっきのはなんだったの?
ジュードー?」と訊かれてしまう。


「合気道って言うの。
護身術です」と言うと、
ポカンとした顔をする。


「何で、ボールペン、持ってたの?」


「過激派が来たと思って…。
闘わないといけないと思ったから…」


「ボールペンで?」


「持ってるモノで、一番、尖っていたから…」と言うと、
全員に大笑いされてしまった。



そのまま、お義父様とアリは、
私の帰国のタイミングで、
一緒にフランスに行けるよう手続きをした。

他の人も、フランスに行く人と、
隣国で難民支援をしたいと言う人が居て、
それぞれ、望む方法で身の振り方を決めることになった。



アリは事あるごとに、
「マーサに近付くと、
投げ飛ばされるからな」と揶揄うようになったけど、
昔、出会った頃の、
いつも私を睨んだり、無視したりだった頃が嘘みたいに、
軽口を叩き合えるようになっていった。



そして、3ヶ月後にパリに戻った頃には、
アダムとアリ少年は一回り大きくなっていてら
パリの街はすっかり暗く、寒い季節になっていた。


二世帯、隣り合わせのアパルトマンを探して、
アラムのお父様とアリが隣に住むことになった。


毎食、私達の部屋に食べに来て貰うようにして、
大家族のように賑やかな生活が始まった。


ここに、アラムさえ居れば。

私はいつもそう考えてしまっていた。
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