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全部、夏のせい
第10章 再びのエクス、そして隣国へ

取り敢えず、狭い私の部屋に入って貰って、
ミネラルウォーターを沸かして、
「甘いコーヒー、大丈夫ですか?」と訊いて、
全員にインスタントコーヒーを渡した。
アラムのお父様とアリだけが部屋に残って、
他の人達は車の荷物を出したり作業をすると言って出ていった。
国では軍事クーデターになり、
民主的な選挙で選ばれたリーダーは拘束されていて、
また、自分を担ぎ上げて軍部が実質的なリーダーになろうとしていたので、自分を利用されない為に出て来たと説明された。
「でしたら、もう、国には帰らなくて良いですか?」と訊くと、
「構わない。
帰っても利用される。
それを断れば、殺されるだろう」と言って哀しそうな顔で笑う。
「他の国が介入して、
民主的なリーダーを支持するように出来れば状況は変わるが、
旧体制の私はそこに居ない方が良いだろう」
「でしたら、難民として、
他の国に行きませんか?
どこでも!
良かったら私と一緒に、フランスに行くのはどうですか?」
「そんなこと、出来るのかな」
「出来ますよ。
政治的な亡命になると思います。
私と一緒では、贅沢は出来ませんけど、
アダムも居ますし、
私、お料理、得意ですから!」
「それでは、マーサの処で、
お世話になるかな」と笑ってくれた。
「アリは?
どうするの?
国に帰るの?」
「いや。
もう、帰れないかな?
父王を脱出させるのに、
軍部の人間、殺しはしなかったけど、
だいぶ、やりあったから、
手配されてるし…」と言って、
脇腹を抑えて顔をしかめる。
「えっ?」と言って、覗き込むと、
布に血が滲んでいて、驚いてしまう。
「ちょっと、失礼しますね?」と言って、
少し長い上着を持ち上げると、
脇腹に傷があって、まだ血が滲み出ていた。
慌てて棚から救急箱を取って、
ミネラルウォーターで患部を洗ってからガーゼで一度拭いて、
更に消毒液で拭くと、
痛そうに「うっ…」と声を上げた。
気にせずたっぷり消毒してから、
クロマイ的な塗り薬をチューブから絞り出して塗布して、
ガーゼを載せてテープを貼ったけど、
それだけだと動いたら外れそうだったから、
伸縮性のある包帯で巻いてみた。
ミネラルウォーターを沸かして、
「甘いコーヒー、大丈夫ですか?」と訊いて、
全員にインスタントコーヒーを渡した。
アラムのお父様とアリだけが部屋に残って、
他の人達は車の荷物を出したり作業をすると言って出ていった。
国では軍事クーデターになり、
民主的な選挙で選ばれたリーダーは拘束されていて、
また、自分を担ぎ上げて軍部が実質的なリーダーになろうとしていたので、自分を利用されない為に出て来たと説明された。
「でしたら、もう、国には帰らなくて良いですか?」と訊くと、
「構わない。
帰っても利用される。
それを断れば、殺されるだろう」と言って哀しそうな顔で笑う。
「他の国が介入して、
民主的なリーダーを支持するように出来れば状況は変わるが、
旧体制の私はそこに居ない方が良いだろう」
「でしたら、難民として、
他の国に行きませんか?
どこでも!
良かったら私と一緒に、フランスに行くのはどうですか?」
「そんなこと、出来るのかな」
「出来ますよ。
政治的な亡命になると思います。
私と一緒では、贅沢は出来ませんけど、
アダムも居ますし、
私、お料理、得意ですから!」
「それでは、マーサの処で、
お世話になるかな」と笑ってくれた。
「アリは?
どうするの?
国に帰るの?」
「いや。
もう、帰れないかな?
父王を脱出させるのに、
軍部の人間、殺しはしなかったけど、
だいぶ、やりあったから、
手配されてるし…」と言って、
脇腹を抑えて顔をしかめる。
「えっ?」と言って、覗き込むと、
布に血が滲んでいて、驚いてしまう。
「ちょっと、失礼しますね?」と言って、
少し長い上着を持ち上げると、
脇腹に傷があって、まだ血が滲み出ていた。
慌てて棚から救急箱を取って、
ミネラルウォーターで患部を洗ってからガーゼで一度拭いて、
更に消毒液で拭くと、
痛そうに「うっ…」と声を上げた。
気にせずたっぷり消毒してから、
クロマイ的な塗り薬をチューブから絞り出して塗布して、
ガーゼを載せてテープを貼ったけど、
それだけだと動いたら外れそうだったから、
伸縮性のある包帯で巻いてみた。

