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第1章 出逢い

南フランスの片田舎で過ごす夏は、
私にとっては特別なものになるだろう。


そんな予感めいた気持ちを胸に、
パリで国内線の乗り継ぎをした。


大学2年の時に、
学部内の選考試験を受けて勝ち取った3年生の夏休み中の短期の交換留学。

同級生達は、司法試験用のゼミに入ったり、
予備校に通ったりしていた。

私も同じように司法試験用のゼミには入っていたけど、
語学も好きで、
学者っていうのも良いかなと思って、
あまり深く考えずに誘われて受けた試験に、
結局、友人は落ちて、私が受かってしまった。

学費など全て大学が出してくれるプログラムで、
自腹なら選考に漏れた学生も参加出来る内容だったけど、
多分プライドが許さなかったみたいで、
彼女は参加しなかった。

数少ない女子の友人とは、
そのせいで少し距離が出来てしまったけど、
まあ、仕方ないかなと思ったりしていた。


何人かの学生が自腹参加することになっていて、
引率のようにフランス語の教授も1人、同行だったけど、
他の学生達とは面識がなかった。


行き帰りの手配は、自分で、
もしくは大学が提携している旅行会社でとなっていて、
私は自分で手配することにしたから、
余計に他の学生達と顔を合わせる機会もなかった。


友人との距離については、
どうせ、うちの学部は、ほぼ男子ばかりで、
多分卒業しても、同じような比率の世界で仕事をするんだしと割り切っていた。


マルセイユの空港で、
預け荷物が見当たらないと言われるまで、
楽天的な気持ちで空ばかり観ていて、
いきなり、アバウトなお国柄というか、
海外でありがちな洗礼を受けた。