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全部、夏のせい
第18章 エクスへ

久し振りのマルセイユの空港。
初めてアラムと出会った思い出の場所。
感傷的になりながら、
アリが手配した車でエクスのホテルに向かった。
レオンに連絡はしないままで居たのは、
会いたいと思っている一方で、
本当にあの東京での夜は、
ひとときの真夏の夢のように思えたからだった。
どう考えても、
恋愛が始まるとは思えなかった。
それでも、エクスの街を訪れたのは、
心の奥に、
もしかしたら…という淡い期待めいたものがあったのかもしれない。
少し疲れた様子のお義父様をアリにお願いして、
私はパリでお義父様がプレゼントしてくれたエブリンを斜め掛けにして手ぶらでのんびり歩いた。
エクスの石畳の続く路地も古い建物も昔のままで、
一瞬、タイムスリップしたような気持ちになる。
広場の向こうの教会の扉をそっと開く。
外の暑さが嘘のように中はひんやりして、静寂に包まれているのも昔のままだった。
ベンチになっている椅子にそっと座って、
前の椅子の背に置いてある聖書を手に取って開いた部分をそっと黙読する。
前の辺りに人影が動くのが見えてそちらに目を向けると、
神父様のようだった。
近くに行って見たけれど、
知らないお顔だった。
お声を掛けてみて、
15年ぶりにエクスに来たことを伝えて、
以前、こちらに居た片山神父様のことを伺ってみると、
今はホッカイドウに居ると言われた。
次に日本に戻ったらご挨拶に行きますと言うと、
にっこり微笑んでくださった。
初めてアラムと出会った思い出の場所。
感傷的になりながら、
アリが手配した車でエクスのホテルに向かった。
レオンに連絡はしないままで居たのは、
会いたいと思っている一方で、
本当にあの東京での夜は、
ひとときの真夏の夢のように思えたからだった。
どう考えても、
恋愛が始まるとは思えなかった。
それでも、エクスの街を訪れたのは、
心の奥に、
もしかしたら…という淡い期待めいたものがあったのかもしれない。
少し疲れた様子のお義父様をアリにお願いして、
私はパリでお義父様がプレゼントしてくれたエブリンを斜め掛けにして手ぶらでのんびり歩いた。
エクスの石畳の続く路地も古い建物も昔のままで、
一瞬、タイムスリップしたような気持ちになる。
広場の向こうの教会の扉をそっと開く。
外の暑さが嘘のように中はひんやりして、静寂に包まれているのも昔のままだった。
ベンチになっている椅子にそっと座って、
前の椅子の背に置いてある聖書を手に取って開いた部分をそっと黙読する。
前の辺りに人影が動くのが見えてそちらに目を向けると、
神父様のようだった。
近くに行って見たけれど、
知らないお顔だった。
お声を掛けてみて、
15年ぶりにエクスに来たことを伝えて、
以前、こちらに居た片山神父様のことを伺ってみると、
今はホッカイドウに居ると言われた。
次に日本に戻ったらご挨拶に行きますと言うと、
にっこり微笑んでくださった。

