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第18章 エクスへ

それでも、いきなり自分の妊娠をお義父様に言うことが出来ないまま、週末を迎えようとしていた夜、
お義父様から翌日の土曜日に来客があることを告げられた。


日本に興味がある方とのことだったので、
和食の材料をアリと一緒に買い揃えに行って、
お花もなるべく日本風のものを探してホールや応接室などに活けた。


そして、長襦袢に襟を縫い付けたりして準備をした。
少し地味な黒地の一越縮緬に、
秋草とつがいの鴛鴦が描かれた加賀友禅を選んだみた。



翌日、アリの車で空港に移動する時は、

「マーサは来客を迎える準備をしていて欲しい」と言われて、
留守番することになった。



母国の方なのかしらとぼんやり考えながら、
活けたお花を手直ししたり、
香炉に伽羅をくべたりして、
静かな気持ちでお待ちしていた。