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第17章 １７

微笑みが漂う頬を紅く染めて、涼子は円く窄めた唇を、やんわりと突き出している。

その突き出した唇は、レンヤの大きく開いた唇の中にある――唇の中にあって、涼子はそれでレンヤの舌を捉えている。

今もなお、涼子は彼女の口の中で、レンヤの舌で自身の舌を、“遊んでもらって”いた。

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遊んでもらいながら――涼子は相変わらず“雄牛”のような荒々しい鼻息に、弾むような喘ぎ声を迸らせる。

「ムフゥゥゥ――くッ、くふんッ――ムフフゥゥゥ――むぅん、むッ、むぅ、むむ……――ムフゥゥゥ……――むんッ、うッうぅん――くッふ！うッく！」

しかし涼子は度々、“鼻声”で悶えるのに飽き足らなくなって――本当はずっと咥えていたいのだけれど――レンヤの舌を放して、唇“も”使って悶えた。

「あんっ、あっあぁんっ――」

尤も、必要なだけ悶えた直ぐ後にはまた――レンヤの舌を啄むか、またはレンヤに舌を啄んでもらうか、或（ある）いは互いに唇を開けて舌を絡め合わせる――等して、再び鼻息を乱して、だらしない喘ぎを、そこに添えた。

その“弾むような”喘ぎ声には、三つの理由があった。

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一つ目の理由は――言うまでもなく――レンヤのキスそれ自体である。

もう相当の時間――きっと涼子がこれまでの“人生において”、正式に付き合った男性と唇を重ねた時間の合計を上回って――涼子はレンヤとキスに耽っている。

それにも拘わらず、レンヤはキスの魅力を、全く衰えさせない。

だから涼子は、レンヤとのキスに、飽きない。

付け加えるなら、レンヤは――先達てまで涼子の左の脇腹で“楕円”を描くように撫でていた――彼の右手を、今はさらに広い愛撫に供していた。

レンヤはその右手の指先で、背筋をそっと撫で上げ、尻肉を穏やかに揉み、太股をくすぐった。

また時折は――それまで愛撫を加えていた脇腹にも改めて指先を滑らせ、また時折は――涼子の頭を、優しい手つきで撫でた。

ここで些細な真実をひとつ明らかにしておけば、頭を撫でられている時と、その他の部分を愛撫されている時と、その双方において涼子が享受する“歓喜”は、全く等しかった。