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cape light
第2章 花火なんて大嫌いなんですよ、僕は
 僕はしばらく空に舞い上がる花火をおにぎりを頬張りながら見ていた。米を咀嚼して麦茶を飲む。食べては飲み、飲んでまた食べる。花火にもくそばばぁが作ったおにぎりにも感動など一つもなし。
 つまらない時間がずっとずっと続く。
「おお。クライマックスだな」
 秘密機関の誰かがそう言った。
 子供にもわかるキーワード。それはクライマックス。来る、ついに来るんだ水中花火。これより瞬き禁止。僕は水中にピントを合わせてその瞬間を待った。が……。
 来ない。一向に花火が水中を潜って行かない。僕はとてつもない不安に襲われた。まさか直前で失敗? いや実験から敵前逃亡(これはマジでやばいやつだ)。ミッションを遂行できなかった場合、幹部家族には何らかのペナルティが与えられるのだろうか。
 おそらくここにいるメンバーは、その危険を察知して逃げる準備をしているはず……していない。何をしてるんだ幹部諸君。
 それどころか僕以外のメンバーはみんな笑い顔で、中にはまた手を叩いているやつもいる。そうだ、わかったぞ。運命を悟った彼らは、一時恐怖から目をそらすために必死になって喜びを表す姿を演じているのだ。僕にはすべてが理解できた。実験をしくじった僕ら(実際にしくじったのは実行部隊だ)の近くには秘密機関の追手が必ずいる。追手は我ら幹部を見逃してくれはしない。
 了解した。僕は秘密機関幹部の子息として見苦しい態度をとることだけは絶対にしない。命乞いなんかするものか!
 短い人生だったかもしれない。こんなことになるならパン屋のパートのおばさんに告白しておくべきだった。あの大きなおっぱいに顔を埋めて息を吸ってそして吐いて、それを何度も何度も繰り返したかった。スケベなクソガキと思われてもいい。思い残すことがあるとすればあの大きなおっぱいだ。無念……。
「翔、立ちなさい。シート畳んで帰るんだから」
 くそばばぁが僕に命令した。
 うるさいくそばばぁ、僕は今あのおっぱいの大きな店員さんとの思い出に浸っているんだ(注・店員さんにはそういう思い出はありません。まぁ、いわゆる妄想というやつです)。   
 おばさんは僕の頭を撫でこう言う「いい子いい子」。そうなんです、僕はいい子なんです。僕は運命を呪う。だってそうじゃないか、あのおっぱいの大きなおばさんの子供だったら、僕は秘密機関の幹部の子供ではなかったはずだ。
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