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cape light
第2章 花火なんて大嫌いなんですよ、僕は
 話がずれてしまった。僕の熟女好きがいつ始まったのかがこの章のメインテーマではない。花火だ花火。僕は花火の話をしているのだ。
 駐車場の奥の方に存在したスペースにくそじじとくそばばぁがシートを敷いた。ここは駐車場よりも少し高いところなので、海がよく見えた。やがてこの海も真っ黒になり、海の底に花火がずんずんと潜っていくのだ。でも……海の底って……。
「翔、靴を脱いでシートに上がるのよ」
 くそばばぁがそう言ったとき、例の僕を振ったクソガキが笑いやがった。靴を履いたままシートに上がる馬鹿がどこの世界にいるんだ!とくそばばぁに強く言いたい。
 まぁそんな些末なことで心が揺らされるようでは、将来秘密機関の幹部になることなどできないだろう。もっとも僕は都の水道局に勤める気はない。口は堅いが(多分)、堅苦しい仕事なんか僕は真っ平ごめんだ。国家の秘密を背負うくらいならおにぎりの入った重いリュックを僕は背負う。
 僕はシートの上に上がり胡坐をかいた。正座でも体育座りでもない。どうだ、僕を振ったクソガキ、大人はこういう場では胡坐をかくんだ。これが秘密機関幹部であるご子息の立ち居振る舞いというものなだ。わかったか!僕を振ったクソガキ!
 僕は胡坐をかいて腕組みをした。でもって目を瞑る。心の中で水中で広がる花火を想像する。早くこいこいお正月ではなく、早くこいこい水中花火。
 五分経過。
「翔、おにぎり食べなさい」
 と、くそばばぁ。それどころではない。
 十分経過。
「翔、お茶飲まないと、熱中症になるぞ」
 と、くそじじぃ。気遣い御無用。
 すると!ドーン!来たな水中花火。歴史の証人になる覚悟をした僕は目を開けた。
 花火は勢いよく海中に……潜らない。花火は空高く駆け上っていき、真っ黒に塗られた夜の空でぱっと開いた。その瞬間、秘密機関の面々は「おお」と言って手を叩いた。
 違うだろ、幹部諸君。それは普通の花火だ。普通の花火に「おお」とか拍手なんていらない。
 そのとき、僕はこう思った。心の声を披露しよう。
「ふん、まぁ実験には練習も必要なんだろう。いきなり失敗では秘密機関の面目が丸つぶれだ。とりあえず上の方に打ち上げて、だんだんと慣れてきたときに、技術の結集を海中深く潜り込ませる。なかなかやるじゃないか秘密機関、お楽しみは最後に待っているんだな。オーケーオーケー秘密機関」
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