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cape light
第4章 第4章 大誤算という大誤算は悲惨
 美女と野獣の野獣の方が僕を脅した。
 まぁ、今の僕には若干後ろめたいところがあるので「このくそ親父!」とは言い返せない(客商売なので口が裂けてもくそ親父とは言えないが)。
 僕を脅している野獣が、僕と玲奈のあれを知ったら僕は海外に逃亡しなければいけない(これだけは何とか避けたい)。冒険ではなく逃亡。何だかめっちゃ悲しい。
 初めて野獣と会ったとき、僕はこう思った。
 美女の家は多額の負債を抱えていて、その負債の面倒をみてもらう代わりに、泣く泣く美女は野獣の家森川組に嫁がなければならなかった。
 きっと美女は毎日涙を流して暮らしたに違いない。だってそうだろう、誰があんな野獣と暮らすことが出来るのだ。あんな野獣と暮らすくらいなら、いっそのこと長岡の花火に飛び乗って死んだほうがましだ。だが、家には負債がある。だから美女は仕方なく、もう一度言おう、仕方なく野獣と暮らさざるを得なかったのだ……と。
 おのれ!野獣!このくそ親父!と思っていたが、それは僕の勘違いで、野獣はいわゆる世間でいうところのマスオさんで、森川家の婿に迎えられたのだ。 
 あり得ん。こればかりは森川家の人選ミスだ。こんな野獣を迎い入れてはいけなかったのだ。だからクソ生意気な玲奈が生まれた。玲奈の中にはあの野獣のDNAが引き継がれてしまった。
 坂口翔を坂口バケルと言ったくそ女。
「お嬢さん、あっちの方ですよ」
 あっちとはファーロの軽バンがあるところだ。
「坂口さん、ありがとう」
 美女はまじで優しい。だが……。
「覚えておけよ、玲奈に色目使ったら絶対に許さんからな」
 と、野獣が言った……のではなく言いやがった。
 普通色目を使うのは男ではなく女の方じゃないかと思ったが、その点を深く掘り下げても生産的な時間を過ごすことはできない。
「ああ、それからお分かりだと思いますが、ここから長岡花火は見えません」
 悔しいので僕は森川野獣にそう言った。
「お前、アホだろ。ここに来る奴はそのくらい知ってるわ。アホ」
「あなた、坂口さんに失礼よ。坂口さんは都会の方なんだからこの辺は詳しくないのよ。坂口さん、御免なさいね」
「……」
 婿殿無言。
「とんでもないです。これから一つ一つ覚えていきます」
「がんばってね」
「ありがとうございました」
 ざまぁみろ、くそ親父。僕は心の中でガッツポーズした。
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